再び注目を集めるミャンマーのティラワSEZ

2019年8月20日(火)

ヤンゴンの南部近郊に位置するティラワ経済特区(SEZ)には、50社を超える日系企業が入居しています。ミャンマー初となる経済特区の同SEZは、2019年5月にトヨタ自動車が進出を発表し、部品供給メーカーが入居に関心を示していることから、再び注目を集めています。

同SEZの総開発面積は約2,400ヘクタール(東京都品川区と同規模)と広大であり、段階的に開発が進んでいます。

需要増に拡張案が浮上

ティラワSEZでは、「ゾーンA」と呼ばれる405ヘクタールの区画が開発済み。基礎施工、浄水・配水、配電、通信設備など、すべて日本企業が担当して整備されました。現在、178ヘクタールの「ゾーンB」が順次開発中です。トヨタ自動車が工場を建設するのは、このゾーンBです。ゾーンBでは、第1期(開発面積101ヘクタール)において約8割が成約済み、約2割が商談中であり、ほぼ埋まる見込みとのこと。第2期(同77ヘクタール)も引き合いが多く、約5割が成約済みです。さらに第3期(同46ヘクタール)でも、1社だけで開発面積の半分の区画を購入する方向で検討中の企業があり、2021~2022年に第3期の開発区画が完売する見通しがつきつつあるようです。

こうしたことから、現規模では需要に対応できないとみて、区画を新たに200ヘクタール拡張する方向で検討されています。同SEZの事業会社は、2020年中には造成に着手したい考えでいます。

入居企業の業種はさまざま

ティラワSEZに進出する自動車メーカーは、トヨタ自動車が初めてではなく、2012年にスズキが20万平方メートルの土地に工場を設置済み。2018年から、乗用車3車種の生産を開始しています。

同SEZには、自動車関連のほか、電子部品、縫製、建材、包装・容器、農業、医療、物流といった業種の企業が入居しています。

ユニークな進出企業としては、水産加工品の製造・販売を行うオカムラ食品工業(青森県青森市)があります。同社は、2018年にサーモン加工工場を稼働。ベトナムでは既に、4,000人規模でサーモンの切り身を生産しています。アジア地域を中心とした、すしネタなどの水産加工品のグローバルな需要拡大を見込み、ミャンマーに拡張投資をしています。ヨーロッパや南米から冷凍サーモンをミャンマーに運んで加工。加工品の約8割は日本向けですが、約2割はアジア、ヨーロッパにも輸出しています。