Jリーグは現在、ASEAN7か国のリーグとリーグ間で提携協定を結んでいます。運営管理ノウハウ、選手育成、相手国リーグでのプレー機会の創出などに関して協力を掲げています。
Jリーグは、アジアで随一の成功したサッカーリーグ。1993年のJリーグ開幕をきっかけにワールドカップ常連国となった日本に対して、ASEAN諸国からは熱い眼差しが向けられています。
JリーグクラブとASEAN各国クラブのサッカー提携
リーグ間の提携に基づいて、Jリーグの個別のクラブ(チーム)レベルでも、ASEANのクラブと提携しているケースがあります。
セレッソ大阪は、タイ・プレミアリーグに所属するバンコク・グラスFCと提携。タイでサッカー教室を開催したり、現地アカデミー運営による選手育成や、トップチーム同士の国際試合を実施したりしています。
近年では、サッカーで築いた関係を生かし、クラブのスポンサー間で事業提携をする取り組みも見られるようになってきています。先進的な事例を次にご紹介します。
現地オーナー企業が日系スポンサー企業の進出をアシスト
医療機器を扱う協和医療器(青森県八戸市)は、2017年に、同社がスポンサー契約を結んでいる横浜F・マリノスの「アジアパートナー制度」を通じ、ミャンマーナショナルリーグに所属するヤンゴン・ユナイテッドFCとビジネスパートナー契約を締結しました。
アジアパートナー制度は、マリノスが独自に考案した、アジアへ進出する日系企業と現地企業をつなぐビジネススキーム。マリノススポンサー企業に対し、提携チームが現地での事業支援を行います。
ヤンゴン・ユナイテッドのオーナーは、航空、観光、金融事業などを手掛けるHTOO(トゥー)グループ。同国有数の財閥であり、財界に強力なネットワークを持っています。
2009年のミャンマーナショナルリーグ誕生と同時に発足したヤンゴン・ユナイテッドは、歴史がまだ浅く、成長途上にあることから、2013年にマリノスと提携を結びました。
ミャンマーでは、医療環境の整備が進んでいません。そこに目を付けた協和医療器は、医療分野で培ってきた30年以上にわたる知識や経験を、市場成長性の著しいミャンマーで生かしたいと考え、同国への進出方法を模索していました。そうしたところへ、マリノスがヤンゴン・ユナイテッドを紹介。同社は、ヤンゴン・ユナイテッドと提携することで、HTOOグループのアシストを受け、ミャンマー市場への進出に活路を見いだしました。