日本に要請 またも!南北高速鉄道建設 とカーボンニュートラル支援案件

2022年10月18日(火)

現地報に拠れば、ベトナムのチン首相は日本の国際協力銀行(JBIC)に、ベトナムの高速鉄道建設に関する研究開発支援を要請したとあります。
これは7月末に行われたJBIC前田会長との会談の中で依頼があったもの。
具体的な内容や細目は不明とあるが、復活しそうな気配の南北縦断新幹線計画。前回の二の舞にならないかと考えるのは自然なこと。
またこの案件に加え、これまで両国首脳によって話し合われた国内の各戦略的インフラ開発となる重要プロジェクトへ支援も要望しています。
すなわち全国の高速道路網建設などの交通インフラの整備、気候変動への対応、デジタル化、医療能力向上、イノベーション、人材育成などODA案件の促進。てんこ盛りの支援を日本政府とJBICに期待すると表明している。

さらに2050年までに温室効果ガス排出ゼロを達成するため、日本がCOP16会議で約束した追加資金援助100億ドルに、ベトナムがアクセスできるよう求めています。
ベトナム政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すという方針を宣言しており、2021年の国連気候変動サミットで気候変動への対応を公約したのです。達成可能か分らないがベトナムは地球環境保護へ積極的だと海外へのアピールです。だが企業、団体、市民へ理解させるまでには至らず、政府の独りよがり。それでいて化石燃料の消費量は成長に比例して増えている現実。
何処から手を付けていいか分らないという現状。実施への工程表がなく焦りがあるのは確かだろう。となれば頼るべき先は日本しかありません。
これに対してJBICはベトナムの環境問題への取り組み姿勢を評価。首相に同意し様々な分野での協力関係拡大に賛意を示しています。
ベトナムは特に南部で年間を通じて太陽の恵みを受けて日照時間が長い。このため具体的なプロジェクトに拠り太陽光発電分野での製造能力向上。ベトナムの再生可能エネルギー開発を進めるためのアドバイス、資本提携、技術協力、人材育成などを支援するとしています。大盤振る舞いとなるのでしょうか。

だが日本にしても大きなことは言えない。環境省は2030年までに再利用や再資源化で資源を有効利用する循環型経済規模を50兆円から80兆円に成長させる予定。資材のリサイクルや中古品流通、ゴミ処理など幅広い分野で行う。リサイクル技術を高度化し、二酸化炭素排出を削減するなどで気候変動対策を講じ政府の50年脱炭素化に貢献するとしているが、果たして思惑通りに進められるのか。

(新たな社会資本への投資と日本の関り)

ベトナムは海外からの投資に依存して経済急成長路線を突っ走ってきました。日本企業も工業分野、農業、サービス産業など多岐に亘り、投資、支援を実施して事業を拡大してきました。だが此処に来て政府は新しく地球環境保全への取り組みを行ない始めた次第です。
チン首相は日本がベトナムへのサプライチェーンを多様化させることを奨励。近い将来に最大の投資国となる様に期待すると八方美人的発言をしているが、新しい成長分野へ先進企業を呼び込みたいのが本音。こと脱炭素化に関しては、各環境問題や解決策がベトナムにとっては殆ど未知数であり、高度な研究開発分野なのです。
全方位外交を行うベトナムとしてはこれまでと同様、新分野においても海外の資本と技術、ノウハウにより国力を高めてきた国家戦略を継続するだけの話。
温室効果ガス問題も国家が豊かになるに連れクローズアップされるが、中等国となった以上、もはや放置することはできません。

気候変動にしても、広大なデルタを抱えほぼ海抜ゼロメートルに近いHCM市、ハノイ市、メコンデルタ一帯などは浸水などの影響をもろに被ります。報道によるとHCM市は年々地盤沈下が進んでおり、1990年以降は成長に伴って継続的に平均2~5cm、所によっては8~10㎝沈下したと危険な兆候。実際ビルと道路の間に隙間ができた、建物が傾く、工場内で分厚い土間が割れている現場を見ている。市ではJICAの協力を得て各部局に対策案を纏めるよう指示。だが解決に向けての人材や先進技術力、さらに資金がなく首が回らない。こうなるとどうしても先進国に頼らざるを得なくなるが、何かと頼み易い国は日本。オネダリすれば金が出て来る打出の小槌。親日国の所以なのです。
ベトナムは先進工業国化を諦めた訳ではなく、世界のサプライチェーン国家を目指すのを見れば明白。また国家の長年の悲願でもあった自動車産業の勃興と急速モータリゼーション化、急速デジタル化も抱えていて余裕などありません。
産業が隆盛、家庭などでもエネルギー消費が増す程にますます炭素化は進むが、電力の殆どを火力で賄っているのが現状。脱炭素社会を宣言するなら、新しい方法や技術で電力を確保しなければならないのに二律背反が進んでいる。
ゴミ処理は一部の都市でやっと分別収集が始まったばかり、下水処理も都市部でさえようやく15%ほど。世界から環境問題先進国と認められるため日本に協調支援してもらおうという思惑があるのではと睨んでいます。
日本も新しい分野での投資や企業進出が可能になり、双方にとってプラス効果を見込めない事ではありません。だが現地担当者が経験を積み知識を得て自助自立できる方だけの方策を講じる必要があると考えるのですが。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生