金利が上昇する中で不動産は影響を受けるか

2023年4月6日(木)

昨年ベトナムの各銀行は金利を急に上げ、また信用枠にも制限を掛けることになりました。アメリカドルに対して通貨安への対応、世界的なインフレ傾向に対処するためとあります。
これに困惑したのが不動産業界。今年も金利高は続き、予想されるところではさらに1~2%上昇すると考えられ、こうなると企業だけではなく、物件を購入しようと考えている潜在顧客の双方にも不利な事情が加算され、需要がより遠のいて行くのは自明の論理です。
企業には新規資金調達と借り入れた融資金と発行した社債の返済が二重苦となり、普通に考えても今年の不動産業界は困難に直面するだろうとの見解がある。即ち業界全体が減速する可能性は高いと地場証券のアナリストは分析している。

一昨年以前の業界の高給を耳にして、不動産会社に転職した社員やブローカーは思うほどに成果はあげられず、歩合給が取れない苦しい生活。もう辞めるしかないと考えているが、大手でさえ大幅赤字の上に売れないまま物件が大量に残っているのが実態。どうしようにも動かない。では何時になれば底が見えて来るのか。誰にも分りません。気が付けば上昇を始めている。

投資家でさえ手持ち物件を損切り覚悟で売却に出しているが、希望額では処分が出来ない。長期的にみれば株式同様にアパートも譲渡利益が出るはずだし、外資系企業が増える傾向にあるため、売り急がなくても賃料は定期的に入ってくる。これまで商業物件も動きはなかったが賃料は上昇傾向で、観光客増加でホテルも料金が上がっており我慢の為所。

だが関心があるのはもはや不動産でないという身の変わり様。自ら不動産や株式等に投資せず、資金を運用会社に預託し確実に利益を得ようとしています。こうなると外国人をターゲットにしてきた超高級アパートは余計に売れない。事業主もかなり多額の利益を得てきて相見互いだったが、客層も限られるため下手すれば仲良く共倒れ。
居住用として一般市民に販売しようにも買える訳がない。そこへ以って社債の償還期限がくる。価格を大幅に下げても売れない、資金は調達できない。
既に社員もリストラし金目の物も売却してきたが、無い袖は振れません。株式の下落も半端でなく一部企業は外国ファンドから資金を導入する計画はあったが誰も乗っかってこないし、M&Aですら応じられない危険度MAXに達したと考えても間違いない。
政府も有効な解決策を持っていません。これでは行きつくところ倒産しかない極めて明確な筋書きだが、蘇る企業はフェニックスの奇跡に近い。
これが今年起きるかも知れない不動産業界の行く末です。

・風水 不動産専門ニュースから

日本では家を新築する際、神社へ行き地鎮祭を依頼するとか、安寧を祈願してお砂を授かり、基礎工事に着手する前に適切な所へ埋める事がよくあります。
時代が進化してもこの様な神事をされることはビル工事でも多い。
建売の場合はやらないが、安全祈願の後に直会をして工事を担当する大工さんなどへ気持ちを込めてお願いするのもあながち無意味ではないと思える。
そこまでしなくても設計担当者との打ち合わせで、厳寒や台所の位置や鬼門に植える草木の選定などする場合もあるが、迷信だと決めつけるものでは無く、古来、日本の気候風土から理に適った知恵だと思えることもあります。

面白い記事を見つけました。タイトルもズバリ風水の観点から今年の不動産を見る。面白いと感じるか、鰯の頭と同じでアホらしいと思うか各位のご自由。
ベトナムでも市井では占いが盛んです。日本の様に占いの館で各種占いがあるとか、有名な神社の鳥居脇に小さな白い机を置き、筮竹で運勢を観て貰うため、老若男女が長い列を作るとかはなく、個人の家で占うということは多いのです。
さて風水専門家と称するクオン氏が登場。結論から2023年度の不動産市場は例年の様な賑わいはなく、調整と蓄積の段階にあって、住宅の価格は実質の値段に近づくとありました。恐らく値段は下がって行くだろうという御宣託の様だが意味がよくわかりません。
だが年末にかけては前向きな兆候があるとしており、家を建てようとする人や資金がある人にとっては利点とあります。

トレンドとなる不動産は優れたインフラと綿密に計画された地域で見つかる。
即ち、地理的にはハノイ、HCM市の旧市街のエリア、ダナン、ニャチャン、フーコック(島)などの観光地。また評価されなかった市中心の古いアパートは値段が上がるだろうと述べているが極当たり前のお話でしかありません。
都心部のタウンハウスやアパートでは価格が維持、上がる可能性もある。だが地方の土地はそうでなく、工業団地がない地域の土地価格は下がり、もしくは凍結する。要するに都市部でないと不動産はモノにはならないというのだが、工業団地など今では何処の省・地域にもある。
大手ブランド企業も復活する。観光向け施設、生産施設、賃貸オフィスもいい。即ちキャッシュフローがある所というが、大手だって多くは資金が枯渇している状態です。

投資家にとっては直ぐに利益を上げられるのには適した年でありません。少なくても数年、またそれ以上の長期でのビジョンが必要。リスクヘッジのためにレバレッジは勧めない。としているが、一攫千金を夢見る人には通用しません。
今年不動産を購入したい人へのアドバイスとは、中級低価格の都心のアパートは買い。機会を恐れて余り待つべきではないとしています。
最後に土地を選ぶとか、家を選ぶ場合、風水で方角、場所、風景、形状に注意を払う必要がある。また風水家を選ぶときは評判のいい人に尋ねて。と商売気丸出しのコメント。やはり結論はこれが言いたいため。

他の風水師も家を購入した人へは玄関に置く品物とか、カーペットの色、壁に掛ける絵の図柄とか方位、果ては庭に植える植物まで、まるで日本のテレビや女性週刊誌と全く同じことを御託。
不動産に至っては事前に現状を確認していたのか、当たり障りがなく誰もが納得することしか書いていないがよくある手。当たるも八卦、当らぬも八卦の世界。信じる方は何処の国にもいらっしゃる。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生