チン首相 ロシア外相などと会見

2023年10月20日(金)

チン首相はロシアのラブロフ外相と会見した。記事は中国のように長くはなく、両国間の包括的・戦略的パートナーシップの重要性を確認、あらゆるレベルでの訪問と交流を継続し、持続可能な発展に向けて協力することを望んだとあります。
双方はまた、これに関しての協力メカニズムや合意などを効果的に実施、貿易や観光、その他の分野でも協力拡大に向けて困難や障害を取り除く事の必要性を主張したとする。
また世界的に関心事項である国際的・地域的問題に付いて意見を交換し、東南アジアをはじめとする世界の平和、協力、発展をするため、維持貢献を続ける意向を示したとベトナムメディアが報じています。
だが何とも当たり障りのない内容に終始。まったく意味をなさないどころか、何のためにラブロフがやって来たのかだが、見る影もないヅタボロのロシア。
どうあがいても侵攻と一般市民の殺戮に賛同出来る訳がなく無理筋であるが、そこは積年の友好国。何処まで突っ込んだか記載が無いので解らないが、会談しない訳にいかないのでテキトーに収めた感が否めないと感じる。

ところがどっこい、10日に出てきたニュース。嘘か本当か、その真偽の程はアメリカ紙のすっぱ抜きなので定かでないけれど、ベトナムが秘密裏にロシアから武器を輸入していたとの記事が目に留まりました。
ニューヨークタイムズの報じるところ、入手したベトナム政府の内部文書では、ロシアから武器輸入が計画していたとある。秘密文書は3月付けで、アメリカの監視を逃れるため、シベリアにあるロシアとベトナムの合弁会社を経由して支払いを行い、ベトナム軍の装備を近代化するとあった。実際に実行したか否かは不明だが、現在ロシアに兵器を輸出する余裕などあるはすがなく、近代的も疑わしい。捏造かどうかも不明だが、関係強化を図ろうとする大統領訪越を前に越露が信頼関係を武器輸出で強化するとの文書が正しければ、アメリカは、シタタカな全方位外交を採る社会主義国をどう扱う積りか見もの。

・チン首相 インドのモディ首相と会談

9日・10日にG20開催を控え議長国で、グローバル・サウスの盟主とも云われているインド。先ほど中国を抜いて世界一の人口を持つ国となった記憶も新しい。ベトナムにとってインドは急速に観光客が大挙して訪越しているし、今後貿易や投資に於いても見逃せない巨大国。何としてでも渡りをつけたい。

チン首相は7日、ジャカルタで開催されたASEANでインドのモディ首相と有意義な会談をしたが、これはまたとない千載一遇の機会で願ったり叶ったり。

インドと言えば、かつてベトナムで使用されていたのがTATAの車。筆者は初めて渡越した1997年に地方で多く見かけたが、間もなくして姿を消した。
だが現地で仕事を始めた1999年に、何のビジネスだったか忘れたが、話をしたのがインド人経営の商社。意外と早くから深く入り込んでいたのです。
古くはホイアンが全盛の時代のこと。遠くアラビアやインドなどから物資や人が集まり、此処を中継点として中国や日本などアジア地域へ物品が集散したとあるので交易・交流の歴史はあるわけです。これを考えると貿易は何も今に始まったというものでもありません。

会談で合意した内容とは、伝統的なパートナーシップを持つ両国が、友好関係に基づいて相互の戦略的利益を共有していることを認識。このうえで特に新しいデジタルトランスフォーメーション、エネルギー変革、グリーン経営などの分野で協力を促進。相互に利益をもたらせること。また包括的戦略パートナーとして、その柱となる安全保障と防衛協力を強化させることも合意したのです。
さらに両国は相互に貿易を促進するための協力。両国民の相互の移動に対応するためベトナムとインドの航空当局が、各主要都市を結ぶ直行便を双方が増便するために、航空会社へのライセンスを供与することとなりました。
モディ首相は、チン首相の電子商取引に関する覚書と二国間の経済協力協定に署名するとの提案を了承し、両国の貿易障害に付き適用を制限することも同意。
モディ首相はインドの大企業がベトナムへ進出・投資することを奨励するとも明言したと、現地メディアが報じています。
すでに5月、タタグループのタタパワー社がソクチャン省のロンフー火力発電プロジェクトの実現可能調査を許可する書簡をベトナム政府から受け取ったと発表。これはインドの対ベトナム投資の案件として最大規模になるであろうと見られているのです。
この様に、すでに事業は始まっているのだが、今後の予想として急速にインドからの投資が進むものと考えてもいいかと思えます。

・フィリッピン首相と会談

チン首相はフィリッピンのマルコス・ジュニア大統領とも会談。農業、水産養殖、石油・天然ガスなど潜在するエネルギーの協力促進、またデジタル経済、循環型経済、グリーン経済などを話し合いこれらの新分野での相互協力の拡大を図ることで合意。
さらに、両国の知識経済の発展を支援するため、人材育成に関する協力を促進するとし、また近年の世界的な食糧サプライチェーンの変動から食糧安全保障の観点から、特に米の貿易協定に関して速やかに協議することを確認したと報じられています。
取り分け議題にあげられたのが、領海問題において両国が中国から受けている共通の恣意的問題。これに関して両国が協力の促進と緊密な連携が必要であるとの意見交換を行った。中国が開示した地図が問題で、南シナ海を我がものの様にとは盗人猛々しいと怒り心頭。フィリッピン側からも、不当に拘束された漁船と乗組員を友好の精神に基づいて人道的に扱うことと、欧州委員会に拠るイエローカード解除へのベトナムの取り組みを支援する方向を確認した。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生