・日本の金利は上昇局面にあるのか
財務省のホームページに拠ると、6月に売り出す個人向け5年物の第183回、日本国債の金利が固定5年物で1,86%と稀に見る高金利となった。
長期金利もこの所の動きは上がる一方で、このままなら今後に売り出す国債の金利は上がると見ても間違いなさそうな気配が濃くなりました。
となれば預金金利も上がり定期預金は5~10年の長期でなく様子見で構えるのが良さそう。一旦預けると期限が来るまで設定金利のままとなる。ならば物価上昇率まで金利が上がるかと言えばそうでなく、何しなければ資産は目減りする一方は分かるけれど、筆者など金融に投資をする年齢は越えてしまった。
住宅ローンの金利が上がるのは困るけれど、現役の時には公庫が5,5%、銀行では8%程度、住専なんて10数%もあったから、今にして思えばとんでもない高金利時代だったので殊更驚くべき高レートという認識はありません。
ベッセント米財務長官がトランプ訪中に先駆けて来日。この時にわざわざ日銀植田総裁とも会談したとあるが、その内容はメディアに記事はなく、これはまさしく日銀の追加利上げに関する布陣であったとみて間違いなかった。自民内部でも河野太郎は利上げ賛成の立場であり、一枚岩でないことが分ります。
5月22日に植田総裁が高市氏と面会。女史は金利がどうこうではなく、日銀が市場を見て適切な政策を実施するよう含みのある要請したとあるが、反対派はベッセントの意向に否応なく逆らえなかったと考えて良いのかも知れない。
4月には利上げが見送られたが、今回審議委員は賛成に転じた。誰が見ても今の物価高の現状から反対する理由などなく、EUなど先駆けて利下げしている。
ベネズエラに続き、狂気のトランプが引き起こしたイラク侵攻に拠る原油高に伴う物価上昇は加速、例え戦争が終結しても元に戻ることは不可能。企業間の価格転嫁が容赦なく行われ、インフレへの警戒感が増しているけれど我々一般の消費者は物を買い控えるか、量を減らす程度でしか防衛できないのが現実。
価格転嫁が進めばこの影響を著しく被るのは恐らく年末になるが、3%程度の物価上昇と見込まれる。年金支給額が少々上っても何にもならない。
これまで日銀は政府の顔色を窺ってマイナス金利を継続。アメリカとの金利差拡大を是正して利上げするべきであったが時すでに遅く、機を逸して円安を招いた状況を現在にまで引きずっている。もはや取り返しが出来ないまでの深刻な状況になったけれど、輸出企業のため政策を固持したのが原因。前総裁黒田が6月にTVに出演、マイナス金利、国債の大量買入れを正当化。円安は政府の責任と言い切るが、資金が市場に溢れさせた無責任さは極まりなく戦犯。
アメリカFRBでもこのまま原油高が続けば、4月時点でインフレが2%上回るとなれば金融引き締めに入る公算があるとしているほど。しかし新任の長官はトランプ寄り。国民生活、世論に反してまで利下げを強行できるのか。
日本が十数兆円の介入をした所で焼け石に水、片山が牽制すると言っても所詮は戯言で、外貨を取り崩しても一時凌ぎに過ぎず効果などあり得ない。流石に円安賛成の立場の高市でさえ、国民の意見に歯向かえないものと観念するべき、女史の掲げる成長戦略など単に空論に過ぎず、国民は更なる低成長の憂き目を観る羽目になる。160円を超えるとさらにズルズル下がって行き危険。
積極財政はするべき時があるけれど、経済成長時に実施するべきだったが今は過度な投資を控え選別の時期。2000年頃だが絶頂期の円高傾向の際に積極財政出動論を掲げ、野村総合研究所で活躍した経済専門家リチャード・クー氏の講演を聴きに行ったけれど、日本の経済、貿易の閉鎖性を話していたという記憶がある。ではその時の状況から変化があったかと言えばそうでもない。
これまで円安誘導をして来た歴代政権の成長戦略は完全に間違っていた。今の高市政権にしても利上げに反対の姿勢なのだが、歴代政権はこれまでの低金利政策による円安で輸出大手企業を大儲けさせ、その反面国力を削がれ一般市民や中小企業へしわ寄せを招いた責任をどう取る積りかだが知らんふり。
毎日新聞紙上で元三菱UFJ研究主幹が成長戦略は幻想とまで言い切っている。
この中で、大幅な規制緩和を受けてその円安効果で輸出企業は収益が改善したが思う様な民間投資は呼び込めなかったとしている。政府は無能無策に等しい。
安倍二次内閣の2010年頃だったか、円高時の財政出動は良かったと筆者は思うが、知人の大学教授がアベノミクスは結果として失敗するとエコノミストの立場から断言した。大規模金融緩和、成長戦略の方法が間違っており、同時期に生産性の向上を目指した働き方改革は、余りにも日本人が働き過ぎとして労働時間短縮に舵を切ったけれど、欧米のデータを掲げて説明することに問題はなかったが生産性の高低など単純比較などできません。
ベトナムに居て韓国企業の社員の働き蜂ぶりを見ているとかつての日本以上。上下関係は厳しく在住期間も10年位と長期間。ある大手進出財閥系大企業の工場落成式に招待されたが、同社の社員のパワフルな日々の行動を目の当りにするとこれでは日本が絶対に勝てないと悟ったのです。
中東情勢に真の好転の兆しは見えず、イスラエルは強硬に攻撃姿勢を崩さない。トランプも自ら首を絞めただけで思う様な戦果を挙げることが出来ず、為す術もなく焦りがあるのは誰しも感じるところで、世界は彼を支持せず落日は近い。
自国民にさえ呆れられ、まるでベトナム戦争が終結する時の国内世論の雰囲気とウエーブを感じる。軍が嘘で仕掛けた戦争だが、これまでどれだけの民間人を犠牲にして来たことか。結果はブーメラン、自国に物価高が襲ってきた。
日銀は6月、学者総裁にしても各委員は利上げに反対する理由など無くなり、生活や生産現場をみれば忖度することなく踏み切ると考えてもおかしくない。
作られたマクロ数字だけで判断するだけ、または市場やスーパーで安いものを探して買い物をしたことがない高給取りの連中にコトの次第など分らないし、低金利に慣れさせられ、日本がここまで低成長になった原因は政府にあるが、一般国民は騙されず、真の成長とは如何なるものか考えなければなりません。海外に居ればこそ、海外旅行に行けばこそ、為替の恐ろしさは身を以って経験するけれど、物価上昇で保有資産は減る一方だが、いまの日本人のパスポート保有率は17%程と低く実感がないのではなかろうか。
ところが株高は一向に収まらず、まだまだ上昇。試算によると日経平均株価は15万円になってもおかしくないという理論値まで出ている。
実体経済と合わないと思われても仕方がないけれど、株高は円安がもたらした結果であり、このままでは一時囁かれたが、アメリカの投資ファンドが日本株を危険とみて売ったという話もあるが、むしろ上っても可笑しくありません。
・円安、株高の要因 世界から信頼されず有事の円ではなくなった
ベトナムで筆者は進出企業のためサービスアパート事業などをHCM市7区のPMH新都市地区で行なっていた企業に依頼され、不動産・建築が分り営業が出来るということから渡越した。
筆者は当時日本とベトナムとの経済交流を行っていた大学の先輩でもある創設者が運営するセンターでボランティアをしており、招聘してくれた会社は会員であったのだが、何れの時代、何処の国であってもご縁は大切にするべき。
2000年前後は日本人がHCM市に1000人ほど、しかし急速に投資する企業が増えており、暫くして円高を背景に外国に進出し、人件費が安く若い人が多いというメリットを活かさなければとのことで、ベトナムへの進出は急増していった。今から10数年前など、1ドル80円を切っていたことがあり、海外に行かなければ人はいないし損という概念も強かった。親企業が進出なら付いていかなければならず、利益確保をするうえでメリットはあったはず。
筆者も株を持っていたけれど動かず下がる一方で1万円を切っていたのだが、こうなると是が非でも儲かる仕事を発展途上にある新興国なら製造は低コストで可能と考え、進出するのは仕方がないと思えるのです。
筆者は大阪市の外郭団体で、大阪市の企業の海外進出を支援するIBPC大阪とコネクションがあり、依頼に応じて在阪企業の現地視察を行っていた。
その後ベトナム人と進出企業の支援で、企業視察や企業設立を行っていたが、現地でこのような事業を行うために必要なのは強力な人的コネクション。これが無けれれば実務は出来ない。当時は進出企業を支援するコンサルタント会社が急増したが、ディープな関係は無く、日本から依頼された仕事をこなせない所も多かった。当方は大学や役所の人脈をフルに活かしたが、縁の深さと繋がりのあるなしが何よりも優先されるベトナムの現実です。
海外に進出するということは、大手なら企業系列や部品製造などをする下請け企業も共に進出することが多い。こうなると日本国内で産業の空洞化が起きる。作った製品を逆輸入するということは、確かに諸経費は日本の様にかからないので安く消費者にとれば有難いけれど、日本でのGDPを下げる原因になる。しかも資本の流出によってこれを成すことになり、結局はこれが円を弱くして行くことに繋がるけれど、当時は誰もそこまで思わなかった。
強い円が誇りであり、一万円はベトナム通貨に換算して370万VND、今の約2倍以上もあったのはベトナムがドルペック制だったことも理由にある。
この様な事情から、筆者も円安にせっせと加担していたという訳なのです。
日本に来る外国人、即ちインバウンドは毎年更新して増え続けている。日本は美しい国、食べ物は美味しく日本料理は世界遺産にもなった。これだけで外国人観光客は増えるのか。そうでなく円安、要は円が弱くなり他国の通貨に比べ割安で観光で来るだけで飲食費、土産物に交通宿泊費も安くなる。それが対米ドルだけではなく他の通貨にも言える事で、極めて憂慮されるべき状況にある。
日本の文化を発信し、リピーターが増えれば観光立国としては良い。だが狭い国土に多くの人が流れて来て、文化遺産に宗教観が無いので単なる施設になっていて所謂オーバーツーリズムは生活環境の破壊に繋がっているのが現状。
ひいては伝統文化や社会慣習や習慣でさえ破壊されることになるリスクがある。
では円が弱くなったのは何でなん、と誰が思う。
この理由の一つにあるのが先ほどの海外進出。資料によるとこれまで年間10兆円だったけれど2022年には約30兆円に膨らんでいる。このため企業はドルを調達し負ければならず円を売却して米ドルを買う。これが弱くする要因として挙げられます。
また海外で仮に何年か後に利益が出たなら、多くの企業は現地で再投資をするので日本に還流してこなくなる。日本国内で投資をしないのではどうしようもない。金が回らなければならないのにこれでは経済活性化などしません。
さらに企業は内部留保に精を出し続け、研究開発や技術革新の費用は出し渋り、比率も低下している。これまで技術開発力を誇った日本企業でも、棲み分けを行ってこなかった企業は取り残されるだけ。
しかし一企業の問題ではなく、国内では産業空洞化が起きていたことに政府も気が付かなかった。この結果、貿易では食料やエネルギーなどの赤字が増え、デジタルサービス収支は悪化してマイナスだが、ネット普及でとんでもない額の赤字を背負うことになり、折角稼いだ金が海外に渡っているのが今の日本、観光収入の黒字など微々たるものでしかありません。
では海外から企業が戻ってくるのか、少子対策が功を奏するのか、人手が足りないのは能力に見合う職種と収入があってこそだが、エッセンシャルワーカーも足りない現実。これを乗り越えられるのか。産業の構造改革が出来なかったから、高市氏は責任ある積極財政と称して重要分野での投資を行う考えだが、日本は名目GDPが世界38位となっていて、いくら優先順位を付けたとしても強い日本経済の復活と、円安をこれ以上招かないという具体的な政策があるのかは疑問でしかありません。一部の経済学者は日本には海外資産もあるし、国内にも様々な形で資産を持っているので、これら余剰資金を活用すれば全く問題ないとするけれど、そういう一時凌ぎの見せ掛けの次元ではなく、構造的に円安を止めるだけの材料がない。
国内投資が足りないとするのは間違いないけれど、だが経営者なら考えるべき。あっという間に1000兆円を超える残高になった国債の相次ぐ発行に安易に頼る財政出動は危険であり、さらなる円安を引き起こすだけ。消費者は海外新興国の製品に頼るのではなく、コンテンツの多さにウンザリするが日本で製造した製品を一つでも購入する行動が解決への道になることを考えるべきであり、経営者は産業の空洞化、R&Dを復活させるため国内製造を行い、科学教育へ積極投資を行うのが必要と認識するべきです。
ニデックの創業者で会長の永守氏はこうした日本の科学技術力低下を懸念して、大学を作ろうとしたがかなり難しい。そこで亀岡市の京都学園なる大学を買収して理事長となり、校舎を京都市内に新築移転した。
会計上の問題はあるとして、この様に日本の現状を憂いて此処まで理念を持ち行動した人はこの頃みない。ベトナムでも1万人以上もの現地スタッフを採用、時の政権と電話で話が出来るほどだが、首脳から北部進出の要請をされても頑として受け付けなかったのです。
レベルは違うけれど、ベトナムのVinグループ、マサン、ベトジェットエア創業者と共通したモノを感じる。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生