・ベトナムが東南アジアで最も成長を維持 ADB
アジア開発銀行に拠ると、ベトナムは東南アジアで最も成長の早い経済であり、今年のGDP成長率は7,2%、来年は7%と予測されている。
またアジア太平洋地域での見通しは、同国の製造業の強さ、持続的な輸出と投資パフォーマンス、安定した国内需要を反映し、この地域で最も高い水準に入っていると、ADBが発表した「アジア開発見通し2026」に書いている。
この報告書の中でベトナムのインフレ率について、昨年の3,3%から今年は4%に上昇、また来年2027年には3,8%に若干緩和されると予測した。
ADBが今年アジア太平洋地域の成長予測を4,9%に引き下げたにも拘わらず、このインフレ率は4月時点での予測から0,2ポイント低く、昨年の5,5からとすれば最も明るい状況として際立っているとあります。
報告書では中東紛争に拠る世界エネルギー市場の長期的混乱が地域の経済見通しに圧力を予想以上にかけているとしている。しかしADBは来年のこの地域の成長予測を5,1%とし、この理由について中東紛争は不確実性があるけれど、徐々に収束する可能性があれば、経済活動が活発化して勢いを取り戻すと見込んでいる希望的観測を含んでいるのです。
しかしエネルギーコストの上昇は肥料、石油製品、世界のサプライチェーンに波及する中、地域全体でのインフレ圧力は高水準のまま続くとも予想している。
ADBのチーフエコノミストは、アジア太平洋地域が引き続き強い成長を示している一方で、中東での持続的課題は政策の立案者が成長維持策とインフレの抑制への努力を伸長活バランスの取れた状態で行なう必要があるとした。
報告書はまた地政学的緊張の再燃と長期にわたる不安定さが地域の経済見通しに於ける主要なリスクの一つになると警告している。またこの様な動きは世界のエネルギー市場をさらに引き締め、インフレ圧力を高め、外部の静寂性を増大させる可能性があるとしました。
ベトナム経済は量から質へと転換する必要がある
ADBの専門家はベトナム経済が堅調な成長を示しており、財務省傘下の国家統計局が発表した最新のデータに拠るGDPは、8,18%に拡大しました。
そこでADBの主要な経済担当者は、中長期的にこの様な勢いを維持するため従来型の発展要因でなく、生産性と効率を重視した成長モデルが必要であるとしました。ADBのベトナム担当者はこれらの数字は非常に励みになると述べ、世界的な逆風の中で経済回復力を反映しているとして、当初のADBの予測を上回っていることを指摘したとあります。
この見解にはADBの主任エコノミストであるザップ氏が、ベトナムの成長は幅広く産業、建設、サービス、輸出、FDI、公共投資、国内需要回復などで強いパフィーマンスに支えられているとした。しかしこの様な強い数字が示す状況にも拘わらず、外部の不確実性や国内のマクロ的経済圧力は依然として大きいとしているのです。
ベトナムはGDPの約1,7倍の貿易量を持ち開かれた経済であるとしている。しかしそれが為、世界の貿易の変動、関税政策、主要な輸出市場での需要低下が認められ、これが貿易、物流、投資フロー、ビジネスに反応し成長に大きな影響を及ぼしている。また輸入が輸出を上回る速さで増加しているので上半期に貿易赤字が生じることになったことを指摘している。
しかしこれは生産活動の拡大を意味しており、企業がニーズを満たすため機械、設備、部品の輸入を増やした結果であることを反映しているとした。だがこの傾向は国内の経済が輸入に大きく依存していることを意味しており、また必ずしも地場企業が行っているのではなく、進出外資系企業が生産を増やすためであるという事も浮き彫りにされるのです。
インフレに関しては綿密な監視が必要であり、今年前半でのコアインフレ率はと消費者物価指数が4%を超えた事で、今後数カ月間は金融政策の調整余白が狭まり金融ガバナンスに於ける柔軟さと慎重さが求められるとしている。
この様な背景があるため、もはや急速な成長を求めるのではなく、マクロ経済の安定を維持しつつ質の高い長期的な成長を継続させるのかが重要となる。
政府が掲げる2045年に高所得国となる目標を達成するには、成長の速度とこれを維持することが不可欠ともしているのです。
そのためには経済は資本、これまでの低コスト労働力、FDIに依存する経済成長モデルから、生産性を重視し、イノベーション、また民間企業に拠る成長モデルに移行し、バリューチェーンに関与して経営能力を向上させる必要性があるともしている。
しかし言うことは分かるがかなりの理想的シナリオであって、企業と経営者が本気で自らを改革し、生産性を上げ高品質な製品を製造できるまでには、修得しなければならないことが山ほどある。これまで何の努力をしてこず他力本願だったのに勢いあれやれ、これやれではベトナム人は付いて来られない。
先ずは教育制度を改め、企業人は基礎から学び直し事業や仕事に取り組む姿勢や精神性を高めなければならないと筆者は考えます。またグローバルな思考も必要であり、先進国で当たり前に行っている高度なマーケティング、生産管理、企業経営に関するあらゆる能力を向上させる必要がある。これらは経験上肌で感じる事だが、海外に依存する体質を改め如何に自助努力する気があるのか。
現場では基本を重視し如何に実践するのかと考える。
投資に関しては、FDIの積極的大量誘致ではなく、高品質で投資を確保し国内経済に付加価値を与えられる事で地場企業がシェアを増やすこととした。
ADBのエコノミストはベトナムの経済成長の見通しは明るい、7月に公表されるアジア開発見通しではアジアで最も成長の早い国であると予測している。
・ベトナムは金融資産成長の主要新興国の一つ
ベトナムは個人資産に於いて、急速な経済成長に拠り人々の金融資産価値でも大きな成長をしている。特に富裕層の金融管理サービスでも大きな可能性があるとしています。
アメリカのボストン・コンサルティングGに拠るレポートには、ベトナムの様な高成長、低成熟市場では、新たな能力を構築する最大の可能性があるとし、確かに2025年から2030年の間で、金融資産成長率は9%以上になると推定されるが、これは上位新興国では4番目にも相当するというのです。
急に金持ちになった人は、金はあるけれど、どう管理すればいいのか分かっていない。結局は口座に金があるけれど投資や使い道が分らない成金。
ボストン・コンサルティングによれば、金融資産が25万ドル~500万ドルの新興国富裕層は急速に増えていると分析するが、金融サービスを利用していないという。これらの資金が市場に回り投資に活用となれば経済は活性化する可能性がある。金利は下がる傾向になるけれど、彼らはまだこの対象にも入っていないというし、国内でのサービスも需要に追い付いていない状況にある。
このまま成長が維持されるのなら、新興国市場での資産は12兆ドルに膨らみ、世界の成長に10%貢献すると試算している。
そしてこの成長は国内の貯蓄率の上昇、強い経済成長の源泉で中間層、富裕層拡大によって牽引されるとしています。取り分け25万ドル以上の金融資産を保有する個人が年間で8%者成長を見せており、2030年までには約100万人のミリオネア加わると予測しているのです。
ベトナムは今年HCM市に国際金融センターを作り、ダナンでも開設される。
さらに新首相に選任されたフン首相は経済にはめっぽう強くて金融の専門家。ベトナム国家銀行のトップであり世界銀行の担当でもあったため、これからのベトナムに於ける金融政策を果敢に進める可能性があると考えるのです。
さらに未成熟なベトナムの銀行、証券と債券などの金融システムの整理は重要な案件であるので、何れはメスが入ると考えている。
経済成長と、金融というベトナムにとって、今の中所得国の罠に成り兼ねない大問題。これをこの首相はそのような政策を持って臨もうとしているのか。
最も筆者の関心がある所なのです。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生