不動産仲介人が70%減 今年人手不足が懸念される

2024年2月7日(水)

・チグハグな値動きをする不動産

まず現地不動産専門ニュースはHCM市のタウンハウスが過去10年間で7倍にも高騰し、一平米当りの価格は14000ドルになったと報じている。
記事に拠ると1013年~2016年は2000ドル(多分建て込み)だったが過去5年間で急騰。取り分け東部は平均して12%高いという。また供給も同じ割合で伸びているともいうが、地域性はあるにしても行き過ぎ感が拭えない。
この要因の一つとして専門家は、タウンハウスは効果的な資産であり、経済が不安定な時期には安全な資産としているけれど、真の理由は底地が付くことであり、これは農耕民族の典型的で基本的、DNAの特徴なのです。

ちなみに外国人も一定の条件で不動産は購入できるようになったが、権利証はパスポートの期間が有効。更新する場合は権利証も新しく発行してもらう必要があり、此の手続きの複雑さは並大抵ではありません。中々理解できないが、日本の外務省から発行される、以前のパスポートと今回の者が同一人物であるという証明書、領事認証が必要なのだが、ベトナムの場合されていないので、予めどうするのか理解しておかなければなりません。しかし現地の業者はこういう知識は恐らく無いし、相談しても分かっていないので答えられない。こうした極めてややこしい問題がある実態を覚悟しておくべきです。

ところが一方で、HCM市内のアパートでの平均価格は不動産流通市場の低迷により10~20%下落しているという矛盾した現象がみられるのです。
トゥドゥック市で分譲している業者は、78㎡を一平米当り2800万VND(約1116ドル)で分譲しているが一年前の1月から見ると15%の下落。
これは2018年度に分譲されたアパートよりも単価が低いという。
この価格下落の一番の問題は、権利証が発行されていないからとしているが、この辺りの事情に関して、日本人には全く理解が出来ず不可解なことに違いないが、ベトナム人にとっても極めて深刻。何かあれば行政は撤去や解体を命ずるか強行する。だから買う訳など余程でない限りあり得ません。
また7区の76㎡の所有者は売りに出しているが、2021年の購入価格まで下がり、一平米あたり3800(1520ドル)~4200万VND(1680ドル)で売られているが、買い手は付かないままとあります。
即ち上がると見込んでいたけれど、計算上は3億VNDも損したと話している。これは狸の皮算用、欲ボケでしかないけれど、供給過剰のため下落しているのが主要因で、購入意欲も下がっているため売れる見通しは全くありません。
筆者はかつてこの7区と(旧)トゥドック区にも住んだことがあります。
最初は2000年5月、まだ開発が始まったばかりの7区PMHのアパート・約100㎡(3LDK)を47000ドルで購入、8年後には売却したけれど、この時は最初のバブル期であったので約13万ドルに高騰したのです。
最近は異なるが、ベトナムの分譲アパートはほぼスケルトンの状態で販売する。
また日本の様な収納スペースはあまり考慮していません。
従って設備一式はもちろんだが、クローゼットを別注、家具とか電気製品などを購入した所で当時、此処ではそれほどの出費ではありませんでした。
計算するとほぼ7万ドルの利益。しかも譲渡利益に対する課税は無かったし、(明確な理由はあるけれど)8年間の家賃相当分を考えると(約10万ドル)、表面上の儲け以上に大きなものがありました。

開発がどんどん進み、一時は一平米3000ドルともいわれたのだが、こんな設備も良くない5階建ての中古物件がと思ったけれど、こういう所が不動産の怖さであり、市場や先の読めない素人がババ掴みをするところは共通している。
実際にこれは日本でも全く同じであり、仕事柄多くの失敗事例を見て来たし、反対に勘所を掴み、筆者と同じ様に日越で上手く売り抜けて来た人もいるが、プロでも欲をかけば何事も失敗するものです。
今ではこの様な芸当などもはや出来ない状況であり、当面は不況が続くとみて正解なのだが、価格が上がっているというのは何処までかその真偽は分からないにしろ、HCM市内でも土地付き住宅に根強い人気がある事に違いはありません。交通が至便だとか文教施設、利便施設などの住環境が整っているなどのプラス要因があれば、安定した価格が維持できようが、そこまで読み切ることができる人、まして先のことなど分るなど、そんなに居るものではありません。

また約9年間住んだのが現トゥドック市。サイゴン川の対岸がこのトゥドックなのだが、空港に通じる道も開通しておらず、地盤は低く満潮時には道路冠水が起きるなど、市中心部へそんなに遠くないのにもうひとつ人気が無いイナカ。
しかしこのサイゴン川に架かる新しい橋が完成、またベトナム国鉄に並行して通っていた旧国道1号線が拡幅されてから、さらに新幹線の駅が出来るという噂が立ち始め、分譲アパートの販売も始まり価格はかなりリーズナブルだったが売れない状況が続きました。
八尾市に居たベトナム人は、親のために筆者の近場で約300㎡の地所を3万ドルで購入。しかし土地価格は開発が進むに連れてドンドン上がって行った。
これが10年ほど前、何と平米単価が1000ドルを超えたが、今はそれ以上になっている模様です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生