2024年に12万5000人の労働者を海外派遣へ

2024年3月22日(金)

現地報に拠れば、ベトナムは2024年に日本、台湾、韓国などの主要な伝統的市場に焦点を当て、契約に基づいて働かせるために125,000人の労働者を海外に派遣することを政府は目指しているとあります。
これまでも書いているけれど、コストを掛けずに海外からの外貨獲得を求めることを労働力輸出と称し、ベトナムは多くの若い人を海外に派遣してきました。
これを未だに継続する姿勢を政府は崩した訳では無く、むしろ年間の派遣計画を立てて増やそうとしているのだが、此処に無理が生じている事は考えません。
しかし都市部周辺地域に住む若い人たちの応募は減少し、その人的資源を地方の片田舎にまで求めているのが現実であり、ベトナムの送り出し機関では人集めに苦労している実態があります。また以前と比べると現地の人民委員会に取り入ってでも人をかき集めなければならなくなり、員数合わせのために人の質的レベルが下がってきている状況にあると言わざるを得ません。
また送り出し機関の一部は高額の費用を取っているため、これを返済するために海外に行った人がかなりの無理を繰り返している実態もあるけれど、一向に改善されていません。また日本語をまともに習得させていない所や、日本での生活に関する知識を教えていない所もあって、こうした団体は日本人スタッフがいないし、経営者も日本での生活経験がないため、彼らが希望を持って訪日した所で多くの困難が待ち構えているにも関わらず、問題が解消されていない。
2月22日には妊娠が分らずに急な出産をしたけれど、死体遺棄に問われ交流取消しが裁判所からされないままという20歳の女性がいる。初めてのケースではなく何度か繰り返されたものの、彼らの妊娠が分かれば帰国させられるという言い分は変わりません。これは監理団体からも伝えられたというのだが、現在の日本ではこうした人権無視が出来ないのに、間違った話が伝わっている可能性もあり、この原因はベトナム側での日本入国前の生活文化に関する研修が行われていないであろう、ことに起因すると考えます。しかし一方で彼らの甘えや無知もあり、寂しさに耐えかねたのか性知識が乏しく余りの無防備過ぎ故に男に身を委ねたのは無責任な所業。若いからは言い訳になりません。
実際に知人の家族が大阪に来ていた事があって、何度か彼とその友人たちと会って話をし、経験則をして肌で感じ観てきたからこそ現場の実情が解かります。
また現地派遣機関で特別授業として、派遣が間近に迫った人たちに生の日本の生活事情などを講習したことも何度かあるが、機関側の姿勢や責務と考えます。
残念ながら以前の様に日本は憧れの国であると思う人は少なくなり、実習生の派遣数の増大とともに、様々な問題や思いも寄らない犯罪が紙面を賑わしている状況があり、これには日本の受け入れ、ベトナムの送り出す側双方に厳しく問われなければならない問題が多々あるけれど、真剣に考えずに有耶無耶のまま放置して来たツケであると言えます。
多くの若い人は日本の生活文化や慣習を知らない。知らないでは済まされないが、現地機関が教育・指導を出来なければ日本の受け入れ側が行うべきあってその本山となるのはJITOC。実習生の生活支援や保護などと言っているが全く機能しないのは天下りがうようよしているからで、労働者を集めるだけで公益法人とは隠れ蓑でしかない。

日本ではいわゆる3Kと呼んでいるが、日本人が嫌がるキツイ深夜労働、汚くて臭いとされる多くの仕事に従事させるために、新興国から実習生として受け入れてきました。しかし日本で仕事や技術を覚えてこれを自国で活かすという、あくまでも建前であって、その実態とは単純労働者として、即ち最近よく言葉にされるエッセンシャル・ワーカーとして働かせる抗弁でしかなかったのです。
この言葉、社会を支えるなんて聞こえはいいけれど、方便でしかなくウソとしか言いようがないほどの仕事でしかありません。給与が良いとか、作業環境が良いとかいうものではない。またこれで以ってある種の資格が得られ、能力や技術などが正当に評価され管理職に登用されるとか、給与体系が良くなる補償があるというものでも、実習期間が延長される訳でもないという不条理な制度であるのです。
このため、現在技能実習制度を改めようとする動きが出て来ているのは、各位御承知のことと思います。本来ならもっと早くに制度設計の不備を改善すべきであったのに怠って来ただけの話にしか過ぎません。

労働傷病兵社会省・トアン局長に拠ると。日本に約63,000人、台湾へ43,000人、韓国8,500人の派遣計画だそうで、日本がトップに変わりありません。性懲りもなく外貨をベトナムにもたらすため、安全で適切な仕事に就かせるため、潜在的市場に優先的に派遣するとある。また海外に派遣する労働者の向上を継続して、恵まれない地域や政策受益者である労働者を優先的に派遣するとしている。さらに高収入を得られる労働市場を拡大、ベトナム人労働者のスキルに関連した仕事を募集するという。これはベトナムの為の人材育成であり、その開発手法であるとした。昨年は約159,000人もの派遣を行ない、これは計画の133,3%という。これまで過去10年で日本には8万人以上、台湾へ53,000人以上、韓国には11,000人以上が渡航しています。
だが何れの国でも起きている問題は変わらず、逃亡にそれぞれの国での起こす事件は変わらない。この理由の原因を何故調査し改善しないのだろうか。局長は現地の実態を弁えず空々しいだけ。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生