日本ではソニーが好決算ながらもテレビ部門は中国のTCLに移管すると発表。
確かに家電量販店では安価で大画面のTCL製品が売り場に並んでいました。
一時は韓国製が日本製に代わって世界市場を席巻したけれど、今度はどうやら中国製TVが中心になる可能性が出るということなのかと思えます。
シャープの亀山工場製も世界のブランドだったけれど台湾・鴻海の軍門に下り、現在は売却先を探している様だし、また巨大堺工場もKDDのデータセンターに生まれ変わった。パナソニックは数千人規模で希望退職を募集。もはや日本の家電は壊滅的、というか企業は業態や生産構造を根本的に変えなければ生き残れないに時期にあるようです。体力がある内に人員整理を敢行するとの経営判断が適切なのかは分らないけれど、経験上からも中堅管理職が標的にされ、もはや役立たずの部長や役員が残るという図式に変わりはありません。
筆者の愚息が勤務する会社も中国の工場を全面撤退すれば良いけれど、罰金の様な負荷があってできず縮小したが、ベトナム工場を拡大しているという。
このTCLだが、筆者が現地で家電販売などの事業を行っていた時、もう20年以上も前にはHCM市に進出してエアコンなどの販売を行っていました。
大きな看板を市内に掲げていたからよく覚えています。
現ラム政権になってから中国との結びつきは増々強化されてきた感が強いが、ビジネスにあってもこの現象が非常によく表れているのが今回のニュースです。
これを裏付ける様な記事が現地経済紙に掲載されていたけれど、これは中国語が堪能な労働者はベトナムでますます求められている。中国企業の投資、企業進出が続く中で製造業、エンジニアリング、サービス業など、あらゆる業種で人材が必要となり、語学能力に対するプレミアムは平均給与額よりも40%も高い収入を得ているとあります。
現地の採用プラットフォームであるJobokonによる2025年度の給与調査で、582,000件の求人を元にすれば、中国語を中心とした言語を話せる人の強い需要が顕著になっていることが分った。この中国語能力者の需要は日本語の2倍、韓国語の5,5倍もあるという。確かに日本、韓国はすでに多くの企業が進出しており、これまでに語学が出来る人を採用している。しかし中国企業のベトナムへの本格的な投資や進出はまだ始まったばかりと言える。そんな状況であるため昨年度は新規雇用が13,000件もあったけれど、これは2024年度の50%増、2023年度のほぼ倍とされます。しかし全体を見渡すと他の外国語人材の需要は約20%しか増えていないことが分ったとしており、いかに中国企業が此処に来て急速にベトナムへの投資や企業進出を増やしているという外なりません。
最も進出は今に始まった訳ではなく2000年代前半期からあって、資本力を元にして工業団地の用地をいち早く買い占め、元々必要以上の土地を買っているけれど、これを転売して莫大な利益を得ていたことがあります。工業団地側も一括して購入してくれるので資金的にも助かったためにトラブルがあったという話は聞きませんでした。中国企業は何にしてもやることのケタが違う。
最近は鉄道案件や製造業に目が向いているけれど、これなどもはや越中の首脳同士で合意している。しかし2000年前後に建設業が進出しており、此処は中国共産党系の大手企業だが、既にビル建築を手掛けていて若手技術者などは英語で会話し、分からなければ漢字で筆談をして意思疎通を計ったものだが、極めて友好的であったのです。また余談だが、この当時は台湾企業の方が多く、中には大規模開発をHCM市と行いその担当者が台湾人、でも奥さんは中国人で台湾人学校の教師という家庭もあり、今の様なデタントが感じなかった時期でもあったのです。取り分け台湾企業には日本語を話せる人や大学を卒業しており、仲良くさせていただいた記憶が蘇ります。
・中国語能力者の実態
ほぼ引く手あまたと言って良いほどの中国語が可能な人材。彼らの多くは職務経験がそれほどなくても上級者と変わりがない給料を受け取っているという。
これはまさに日本企業がベトナムに進出を始めた頃と同じ状況です。
全般的に中国語が出来る人の給与は、レベルの高低など関係なく一般労働者よりも10~40%は確実に高い。また実務経験が1年未満であっても月額1200万~1800万VND、堪能であれば1500~2600万VNDの給与とされ、これは平均給与額の1,5倍になるという。さらにポジションが上位とかコンサルティングなら1800~4200万VNDという例があるのは驚く。
技術製造部門では品質管理ができると1~3年の経験者で1300~3000万VND、これが5年以上の経験者ならこの1,5~2倍にもなる。
また事務管理スタッフも経験1年未満でも1200~1600万VND、また経験がそれ以上であれば1300~1700万VNDが標準だが、現法社長のアシスタントが出来るなどの納涼が備わるとさらにアップするという状況であるとしています。
筆者の知り合いの大阪の企業。この中国の現地法人の社長と部長は日本の大学卒で、ベトナムの工業団地を購入した。現地工場は日本よりも規律があって、従業員もフレンドリーであったし、HCM市に居る時には食事をしたこともあるけれど、日本人の様な、まあまあ、とかある意味でのアバウトが通用しない人でした。一例かも知れないが、中国企業がベトナムに進出して日本以上の厳しさを感じたけれど、これに現地社員が対応できるのかとの感じがしている。
・人材募集は北部が中心
韓国企業のスマホ工場は殆ど北部にある。これと同じ様に中国企業が進出し、中国語能力者を募集する地域は主に北部であるのです。特にバクザン省と合併したバクニン省には主に中国、韓国、また日本企業が約26,000社も進出しており、82万人以上のベトナム人工場労働者を採用している。
此処で今年の最初の3カ月間で主に電子機器分野の工場が約6万人の労働者を採用することになったとあります。このうち1万人は工場を運営する職務や、現地に派遣された中国人経営者の通訳者としての能力が必要とされるけれど、需要が多過ぎて習熟者の初任給が平均額以上に上昇しているというのです。
この原因は人材不足であり、その中でも取り分け習熟度が高くて同時通訳や、経営に技術用語が理解できる人がそれほど多く居る訳でなく、人材獲得競争が激化しているのです。そこで多くの企業は採用した人達を本国の本社や工場に送り込んで言語や専門スキルの研修を受けさせ、長期的な雇用を保証しているという囲い込みをしている訳です。
中国企業によると、こうした人達の労働力は今後数年間で需要は継続して増加するとし、この地域に投資、進出する中国企業も増えると考えている。そこで人材派遣を行う企業では、中国企業がベトナムで事業を拡大するに伴って円滑なコミュニケーションと業務の効率を確保するためにはより高い給与を保証する用意があるとしており、少なくても3年はこの傾向は続くと予想している。他の外資系企業は人材を取られないため、給与アップ競争に耐えられるのか?
筆者の知り合いだが、ハノイ外国語大学を卒業。英語、日本語、中国語が話せる人が居て、いったん就職した後、APUに留学した。彼女に聞くと最も理解し易かった言語は中国語であるとしました。すなわち比較的短期間で修得し易い訳で、例えば多少の差はあるけれど声調も慣れやすく、発音もし易いということなのです。
ベトナム人の若い人達は韓国に憧れがあった。これは韓国政府が国家戦略として莫大な予算を使い、テレビで韓国ドラマが放映され、歌手が訪越して人気を博していたからです。余りの生活の落差が憧憬に繋がって韓国へ行きたいとか、結婚して韓国へ行き豊かな生活をしたいとする人も増えました。だが聞いた話は幻想であり、現実は甘くはなかった。逃亡や自死などの問題が出て韓国政府とベトナム政府が協議をしたほどだが、何しろ韓国企業がベトナムにもたらした莫大な貿易黒字があるし、貧しい地域に工場を建てて現地の人を採用してきた実績がある。労働問題があっても何とか乗り越えて来た。其処に来てこの様な中国企業の投資と進出が特に北部を中心にして急速に拡大しようとしている実態が出て来た。これを他の外資系企業は注目、この先に起こるかもしれない状況に対抗できるだけの策を講じておく必要があるのではないでしょうか。
・労働者は中国語の学習クラスに殺到 需要が急増
別の記事には先のとおり中国企業の進出が増加。これに伴って中国語が話せる社員を高給で採用していると聞きつけ、ではと中国を学ぶ人がますます増えていると報じています。
ある女性はバクニン省の中国工場に就職したが、元々会計の資格を持っている。
5時15分に仕事を終えて、足早に向かったのは5キロ離れた中国語センター。授業は5時45分から7時45分までだが、すでに満席のベトナム人が教室にいるけれど、彼らの殆どはすでに中国企業に勤務して居るという。
この女性Tさんは、昨年9月から基礎を学びだし、週三回夜間クラスに通っているが、現在HSK4のレベルという(中級)。子供を抱えているが英語での会話で仕事を行って来たけれど、どうしても専門的や状況や書類を説明するためには壁にぶつかることがある。翻訳機に頼るにも限度があるとして1000万VND(約385ドル)の費用を支払って中国語の学習を始めたのです。
同じクラスの人も殆どがチームのリーダーやラインのスタッフで、目標は同じという。この辺り、給与の額は語学が出来るかどうかで大きく違うベトナム、少々高くても学費を払い夜間に塾に勉強に行く熱心な人が多いのは確か。
国家資格ではないけれど、認定された資格があれば転職しやすく、日本の様に会社に遠慮することも全くありません。それだけ自分の能力が評価されていると考えるからであり、学習費用なども直ぐに元が取れる訳。勤務する企業へのロイヤリティなど殆んど感じず現金なもの。日本企業や日本人が考える就職や仕事に対する想いとは感覚的に違うので、これは上級職にしても工場労働者でも回らないため、初めて赴任すると戸惑うことになります。
このバクニン省ホン中国語センターの研修責任者チョン氏は、中国の直接投資が進み、中国語クラスの入学者は年平均で30%伸びて来るという。また学習にくる人の殆どは大学卒業予定者、管理職か事務・会計部門のスタッフだとして、中国語能力者の深刻な不足のため企業は採用戦略を見直さざるを得ない状況になったとしています。
また別の英語などを修得した人も新たに中国語の学びを開始。この所の会議で感じるのは中国企業の北部での進出が加速、その可能性を認識したとある。
北部地域では中国語が必要とする雇用機会は、韓国語を上回るものになるだろうと考えた。かつて日本語、韓国語が支配的だったけれど、明らかに中国語が台頭しかけています。他にも韓国企業で仕事をしたが、将来を見据え中国語にシフトした人もいる。単に企業や工場だけでなく、観光でも通訳者として収入を得ている人もいるし、中国企業でもキャリアを積めば管理職にもなれる。
専門スキルと語学力があれば高給で安定した仕事を得ることが可能で、さらに役職にも就けると考えている人も増えている。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生