ベトナム進出を検討している日系企業、特に中小メーカーさまからは、「中古設備の輸入が可能なのであれば進出したい」という声が聞かれることがあります。
ベトナムでは、中古設備の輸入規制があります。このため、日本本社で使用していた機械や設備を、ベトナム拠点に移管する意向のある企業は、輸入規制に留意したうえで、現地拠点の事業運営や生産計画を立てる必要があります。
今回は、ベトナムにおける中古設備の輸入規制について、ご紹介します。
原則として製造から10年超の中古設備は輸入不可
ベトナムへの中古設備の輸入に関しては、2016年7月に、科学技術省通達(23/2015/TT-BKHCN)が施行されました。これによると、原則として、製造から10年を超えない設備のみ、輸入が認められることになりました。
同通達では、輸出国での輸入中古設備の検査、鑑定が推奨されており、日本では、日本海事検定協会が、鑑定機関としてベトナム科学技術省から認定を受けています。
同協会の鑑定対象となった設備は、工作機械、プラスチック成型機、金型、織機やミシンなどが多いとのことです。
10年を超過した設備でも輸入OKの例外あり
先述した通達では、例外として、製造から10年を超える中古設備であっても、投資プロジェクト関連のものであれば、一定の要件を満たす場合、輸入が認められています。最近、日本海事検定協会から、公式の証明書と併せて、任意で設備の能力証明を発行してもらうことで、輸入が許可されるケースが増えています。
2017年度に同協会が実施した船積み前鑑定は、日本から輸出するもので約180件。このうち、製造から10年を超えた中古設備は15件あり、申請手続き中を除く8件に輸入許可が下りたとのことです。
ベトナム政府は年数制限撤廃を検討
日系企業は、これまで、年数による中古設備の輸入規制が、製造業への投資の妨げになるとして、ベトナム政府に対し通達の改正を働き掛けてきました。
こうした要望を受け、ベトナム政府は、年数の制限を撤廃する方向で検討しています。なお、改正時期については、当初、2018年初めともいわれていましたが、それから1年以上経過した、本記事の脱稿時点でもまだ、新しい動きはみられません。
今後、製造から10年を超える設備に対しても、輸入実績の蓄積と、運用の安定により、日本からベトナムへの投資がさらに拡大することが期待されます。