快進撃する地場流通企業ビンコマースとは!

2020年1月27日(月)

ベトナムの小売り高は経済成長に伴って毎年10%以上の成長をしています。
取り分け都市化が急速に進み人口割合が多い地方に商機が増えているけれど、商品流通市場は海外からの進出に加え地場企業とも競争激化。国内外資系企業を問わず、このところ再編や経営統合などが来り返えされているのが現状です。
そこに急速に躍り出たのが商業流通を主にした複合企業であるビングループ。
ベトナム国内でスーパーマーケットやコンビニエンスストアを展開しており、総店舗数は2019年11月時点で2553になる。スーパーのビンマートが122店、コンビニであるビンマート・プラス2400店強と言うが、これを2020年にスーパーを200店、コンビニを4000店。さらに2025年までにはビンマートを300店、ビンマート・プラスを10000店に増やす計画を発表。全ての省・市への出店を行い、流通業界制覇を果たす予定の様。
2014年に事業が開始されてから僅か5年。あっという間の破竹の勢。だが段階的な商業流通の歴史的変遷が出来なかったベトナム。資金や人材、運営に関するノウハウやマーケティング能力が確実なのか誰もが不思議に思う所です。

成長を加速した理由のひとつは地場スーパーの買収。比較的歴史はあるけれど事業規模が小さく、パッとしない業績の企業を傘下に収めて改称するのです。
このひとつがハノイを拠点にしていたフィビマート。HCM市にも2店あったけれど、相対的に暗い感じで客の入りも良くない。商品構成は普通で取り立てて特別なものは置いてなく、7区にあった時は比較的利用しましたが、近くのCOOPマートに比べて違いは歴然。理由のひとつにハノイが本社と言うこともあるかもしれないが客数が絶対的に少ない。こうして全国に23店舗あった店舗が一挙にビンマートに衣替え。日本の商業流通革命の寵児でスーパー史の立役者ダイエーがイオンに吸収されたケースと似通るが、個人的に経営哲学や思想が元々全く異なると感じます。
このフィビマート、業績が悪化して2014年にはイオンが業務提携を行って資本参加したけれど効果なし。これを再度引き受けた形で2018年に再生を図ったという次第。イオンの資本力とPB商品を以ってしても上手く行かなかったのです。マキシマークの店舗もビンマートに変わっていました。
またクイーンランドという食品スーパーを2019年に買収。HCM市内7カ所にある店舗すべてがビンマートに変わりました。
コンビニも同様。24時間営業のSHPO&GOをたったの1ドルで買収して話題を呼びました。HCM市内で70店舗、ハノイで15店舗ありましたが、2016年にHCM市で創業、わずか3年で軍門に下ったのです。
コンビニエンスストアは、長年の事業経験に勝り、戦略とノウハウがある海外勢の攻勢が激しく、規模が小さければコストがかかる。またミニストップの様にイオンが提携先に選んだチュングエン。だが上手く行かずに解消。経営力や流通事業の経験に乏しかったのを錯覚したと考えます。
ベトナムのコンビニは日本と違って道路に面したところが多く、建物の構造から間口が狭くて奥行きが長い非効率。これを逆手に取って改装を簡素に仕上げ時間も費用をかけない出店と、地方出店戦略が成功し、一気呵成に出店をやり遂げたのです。しかし商品点数が少なく品切れも多い。おまけに商品開発力はもう一つ。歴史あるCOOPマートでさえようやくPB商品を置きだしてからそれほど年数は経っていないが、思うほど店舗数が伸びず水を開けられる一方。
1990年中頃、HCM市1区に初の店舗が出来て以降に店舗拡大が優先され、おまけに未だに伝統的小売形態が主であるベトナム。いま冷蔵庫の普及がようやく60%となったけれど、20年ほど前には高級品。冷凍食品は数えるほどだし、融けた商品がケースに置いてあっても気にしないほど管理が悪い。顧客志向やCSもなく売り手が強い状態。世帯収入も多くない時代が続いたのです。
所得が増加してから消費構造にも変化が見え。若い世代が台頭し始めた時分に、ファストフード人気が出てきたのが2010年台になってから。

時流を得たビンコマースに動きが

韓国の保健当局と韓国製化粧品をベトナムでの流通網開拓に関する提携を行い、5ブランドの化粧品をHCM市など南部で販売する計画。自社店舗とスーパー、ファーマシー、小売店に委託販売する事となりました。安いのが特徴の韓国製化粧品は若者を中心に人気。集客の誘い水の一つになるのか。
また日本の地方スーパーの団体、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)
に加盟。食品雑貨の統一PB商品「くらし良好」をベトナムでも販売するとの報道。メーカー品よりも安い高品質商品を開発して横断的に加盟企業が販売。また一袋が同一価格というのも此処では見ません。こうした販売企画や販促力の弱さは消費者側に立ったマーケティングが出来ていない証左。量的な規模は大きくなる一方で店舗拡大を続けるけれど、歴史が浅く経験や企業理念などはベトナム企業の基礎の脆弱さそのまま変わっていないと考えます。
因みにビングループ。今年国家の念願であった国産車をようやく販売。しかし基本は米国技術者におんぶ、製造機械はドイツ、主要部品は海外製、デザインもイタリアとの有様。また今年スマホの工場建設。2020年には12500万台を生産する計画と言うがこれも部品は輸入しなければできない。研究施設だけは韓国に拠点を置くが安価を武器に世界に進出する野望が満々。だが所詮はアッセンブリーの枠から抜け出せないベトナムの事情を象徴しています。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生

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