ベトナムの実質GDP成長率は、2017年に、過去10年で最高となる6.81%を記録しました。
このことを背景の一つとして、ベトナムへの対内直接投資が好調です。2017年の認可ベースの対内直接投資額は、359億ドル。2012年と比べて、2倍以上に拡大しました。
中でも、ダナンなどの中部ベトナムへの投資が増加しています。ダナンのGDP成長率は、ベトナム全体を上回る9%を達成しています。
経済成長が加速している中部ベトナムは、近年、その存在感が高まっています。
そこで今回は、中部ベトナムの投資動向について、ご紹介したいと思います。
直接投資が拡大する中部ベトナム
投資動向を地域別にみてみますと、2016年以降、ハノイなどの北部ベトナムや、ホーチミンなどの南部ベトナムへの投資が一巡する兆候がみられます。
その一方で、中部ベトナムへの投資が増加しています。
ベトナム統計総局と計画投資省のデータによれば、投資額に占める中部ベトナムの割合は、2015年の4.5%から、2017年には20.1%と急増しています。
また、中部ベトナム最大の都市ダナンでは、都市別の外資直接投資額の順位が、2017年1~4月では全国28位でしたが、2018年1~4月は18位にまで躍進しました。
投資環境の整備が進む中部ベトナム
中部ベトナムは、ベトナム国内でも相対的に発展が遅れていました。
しかし、ここにきて、中部ベトナムへの投資が拡大している背景の一つには、投資環境の整備が進んでいることが挙げられます。
ベトナム政府は、広範でバランスの取れた経済発展を目指しており、北部や南部だけでなく、中部ベトナムにおいても、インフラ面やIT環境といった投資環境の整備に注力するようになりました。
例えば、インフラ面では、ベトナム最大級の商業港であるダナン港(ティエンサ港)の整備が進められています。同港は、日本政府からの資金援助により、倉庫とその関連施設のシステム改良が推進されています。
また、今年9月には、ベトナム南北高速道路のうち最優先整備路線の一つであった、ダナンと中部ベトナムの主要都市クアンガイとを結ぶ高速道路(ダナン~クアンガイ高速道路)が全線開通しました。
さらに、IT技術を活用することで、行政手続きにかかる時間やコストを大幅に削減するなど、外国投資の受け入れ体制の充実を図っています。