紙幣と現地通貨への両替

2020年2月27日(木)

中国メディアの日本語版を見ていると結構面白い。観光で来日した時の感想が書かれてあり、日本人の生活や食事に風習、街が綺麗で親切な人が多い。また日本人の考えや中国人への接し方なども聞いていたのと全く違っていて驚きの連続とか、中国で観るTVドラマは歪曲されていて信じてはいけない。むしろ多くの人が来て優れた部分を見て取り入れるべきだとか、多くの中国人留学生が何故帰国せずそのまま日本に留まりたいのが分かったなど、かつての単なる物見遊山ではなく日本の歴史、文化に触れようとする意欲が伝わります。
今日頭条への投稿で「なぜ日本では紙幣鑑別機を見かけないのか」という疑問が載っていました。今なお偽札が大量に流通している中国では、紙幣の真偽を見分ける鑑別機が効果を発揮してきたというのですが、日本で全く見かけなかったので驚いたとあります。
現在小さな商店でさえモバイル決済が多い理由は、ひとつに偽札が多いという理由が挙げられますが、それでも一向に止まらないと言います。
日本で偽札が流通しないのは高い技術力で製造されていること。特殊な塗料が使用され、細かいデザインや透かし模様などがあり、例え模倣が出来ても割が合わない。偽札犯への罰則も重い。だから流通しないのだと評してありました。
電子マネーは便利であるけれど、人が本来持っている能力は衰退する一方だし、いくら何でも賽銭までとは神様に恐れ多くていただけない。
さらに中国政府はデジタル通貨発行を試験的に行うという。これはキャッシュレス化を一層進化させて現金の流通量を削減するとともに、元の持ち出しを無くして資本流出を防ぎ、人民元の国際化とドル覇権に対抗する思惑が裏にあると言います。
ではベトナムはどうか。今ではプラスティック製の紙幣が使われていて、偽札の話は聞かなくなりましたがその前は普通の紙幣。従ってフォトコピーをして裏表をノリで貼り合わせたなどの稚拙なモノが出回っていました。これは明らかに触感でも分かります。使いまわすと端っこが剥がれているのが見え見え。
しかし日本円やドル等とVNDを交換すれば圧倒的に枚数が多く、銀行で事業資金等を両替しようものなら鞄に詰め込まなければ持って帰れない。その前に別室で紙幣計数機を借りて枚数をチェックしますが、いくら偽札が多くても、一枚ずつ確認などできっこありません。
ある時の事、これは持ち帰って判明したのですが、日系の銀行で日本企業からの振り込みを両替した中の一枚に、この偽札が混じっていました。
銀行に電話すると日本人行員は慌てふためき、後程ご連絡するという。しかし天下の大銀行が認める訳はない。暫くして当行ではそのような事はありませんと否定するお答えが。当然でしょう。名誉にかけて、可能性が分かっていたとしても、申し訳ありませんなどとは口が裂けても絶対言える筈など無いのです。
日本では警察へ、と言う次第で事件になりますが、そんなことなど此処では誰もしない。ローカルの仕事上では、支払いするにしても殆どが現金決済なので、枚数が多くいちいち本物なのか確認などしません。少しでも損はしたくないから知りながらも紛れ込ませます。こうしてババ抜きの様にしてほぼエンドレスの循環が続くという訳。
だが、街中にある両替所では一枚一枚手に取って確認します。VNDを米ドルに両替する際には銀行の小さなハンコがベタベタ押してある。真札なのか確認をするのですが汚らしくて貰いたくはない。
さらにドル紙幣のデザインが変更になってから、多くの両替所では旧札は両替出来ないと断られるケースがあります。日本ではこういうことはありませんが、此処では場所によっては不可もありますから予め注意をしてください。
なお円での両替で充分。此処は日本と違って両替手数料は低いのですが、一旦米ドルに両替しさらに当地で両替は、二重の手数料支払いになりますから無駄。また50ドル以上の高額紙幣の方が若干両替率は良いので、日本国内の銀行でご丁寧にパックしてあるのは反って迷惑千万。小額紙幣の枚数が多ければ帰国時に空港のチェックで財布を開けろと言われる羽目になります。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生