今年の旧正月は1月29日。昨年は2月10日だったかとの記憶があるけど、これが日本人にはよく分らない。中国も同じ時期で、春節とも言われます。
都会から帰省する光景を目にするが若者はバイク、100キロ程の長距離でも全然苦にならない。乗り心地がよくなった長距離バス、鉄道も大変混雑します。
これまで長期休暇はテトが一番長く、誰もがこの時に思い切り羽を伸ばしたい。中でも自営業は2~3週間位休むことがあるので、店が開いていれば通常より値段が高く、交通手段も正月料金となる。そりゃ誰だって休みたいでしょう。
都会に自宅がある人は田舎に親兄弟、親戚がいれば戻れるけれど、近年は国内始め、海外旅行に出かける人も増えてきました。ベトナム人、中国人も殊に日本へ行くことを希望する人が多く、この時期航空機代はかなり高くなります。どんどん生活が豊かになっている証拠でもあるが、若い内に出来るだけ海外に行き違う文化を知り、生活体験をするのが良い。歳を重ねると出来なくなるし、わくわく感も減少、異次元の文化を肌で吸収、馴染める脳のキャパシティーも違うので無理をしてでも行かせるのが正解。記憶に残る容量と質が違います。
この時期には駐在員の多くが帰国するけれど、折角の機会、家族がいなければ近隣国へ出かけると視野も広がるのに、欧米の方と違い余りこれは聞きません。
ベトナムで見かけるのに立春大吉、萬事如意など漢字で書かれた赤い紙が玄関先に貼ってあるが、赤色はハレのお祝いの色。西瓜を訪問する時に土産に持って行くと喜ばれ、赤ければ赤いほど幸運な年になるとの縁起担ぎだが。
中国文化の影響から。街では龍踊などが舞われているし、暦の上での正月とはまた違った楽しい時期になります。日本でも伝統とか風習は大切にしたいもの。
今年、HCM市は地下鉄が開通したので何と終夜運転をするとある。だがこの沿線のどこに行くのか?と訝るけれども、ベトナムの寺院にも二年参りという風習があって、これを知人と一緒にした事があります。記憶ではチュア・バーと思っていたけれど、どうやらチュア(寺)・バー・ティエン・ハウらしい。
メコンなど遠方からバスでやって来る人もいたのだから有名で、一旦大晦日に参拝。寒空にうどんを食べ、夜が明けてから元旦にも参って蝋燭を灯しました。
日本国内でもベトナム人グループはこのテトを祝い、中にはベトナムで食べる正月の餅、バインチュンやバインテットを造る方もいる。随分前に頼まれ帰国時に持って帰ったけれど、今は餡に豚肉が入っているからもはや不可。
大阪の八尾市周辺などこの時期は賑やかだし、京都でも若いベトナム人の会があって日本の団体などと交流し、お菓子やお茶、酒を振る舞われ至福のひと時を過ごすが、互いの異なった文化に触れて理解、共有するのは素敵なことです。
さて、この時期にベトナムへ旅行に行かれる人もいらっしゃるかも知れません。
日本大使館のHPを見ていると、「テト休暇における注意喚起について」と現地の正月の犯罪に関する注意事項が書いてありました。
この内容はページを開けば直ぐに出てきますから、テト期でなくても訪越予定のある方には参考になるかと思います。
ベトナムでは日常一般的に犯罪が増加する傾向にあるとしており、テト期は人の移動が多くなるのでこれに合わせて犯罪も一段と増加する理屈です。
これは故郷に戻る人はどうしても気持ちが緩くなるし、家族や両親などへ渡す贈り物にお年玉を用意しているから懐も温かい。しかも旅行に行くとなれば、タクシーなどの乗り物では地方からの客との金銭トラブル。置き引きに窃盗、さらにイカサマ賭博が増えるとある。さらに飛行機での荷物盗難もあるとかで、何処の国でもよくあることに違いは無いけれど、犯罪被害に遭う度合いが少ない日本人には特に注意が必要かと筆者も考えます。
この幾つかの実例も記載されているので、参考にされるのが良いと思います。
取り分け、旅行社のバスで行くのなら先ず問題は無いけれど、個人旅行の場合、多くの日本人は相手を疑わない姿勢が仇になる場合がある。例えば道を聞くと親切な人と感じる、これはある意味でかなり危険な兆候である場合もあって、用心深くしなければいけない。ガイドブックを読みながら街をきょろきょろと散策するのは特に危険行為。さらに観光客特有の服装も一発で判るが、高価なアクセサリーは付けない。ブランド物も金持ちに見えるから危険、端から騙そうと思っている人物はこういう持ち物や仕草を的確に捉え、まさに獲物が来たとほくそ笑んで、手ぐすねを引いて待ち構えています。
旅行案内には、「このバイクタクシーは親切で安心できる」などと投稿を見掛けるがほぼ出鱈目。多少の日本語は分っていて、これにまず気を取られる。
次に日本人が書いたとする手紙や推薦状みたいなものを見せる奴もいる。HPにはベトナム人から町を案内すると言われ、バイクタクシーに乗せられ、とんでもない所に連れて行かれて、法外な金額を脅し盗られたとあります。
同様に安い飲み屋を紹介され、付いて行くとこれもまた法外な金をとられるのです。連れ回されると何処にいるのか全く分からなくなり不安を増長させます。
この他にも幾つかの事例があるが、街中や市場などはスリも結構多く、財布に金やカード等を入れて持ち歩くのも危ないが、出して支払うのはもっと危険。観光客は盗ってくれと言っているようなものです。筆者などは在住中でも裸でポケットに分散させていました。また日本語でパーティーするから来てとかも昔からの謳い文句で、一旦家に入れば抜け出せず、下着一枚で放り出される。まして風俗にノメリ込むのは危な過ぎて話にもならず絶対にアキマヘンで。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生