即席麺世界ランキング ベトナムは5位 ラーメンの話

2020年9月2日(水)

2019年度、世界のインスタントラーメン消費量は1064億2000万食、前年比28億食の増加となっています。これは世界ラーメン協会の発表に拠るもので、1位の中国(香港を含む)は、断然トップの414億5000万食。2位インドネシアの125億2000万食、3位インド67億3000万食、4位が日本で56億3000万食。次の5位に来るのがベトナムで、消費量は54億3000万食、前年比2億3000万と僅かに増加。世界ランクは前年と同じ順位となっています。
ベトナムのインスタントラーメン消費量の推移は、2012年度が50億6000万食で、爾後、昨年に至るまでは50億食前後を行き来しており、急速な伸びは見られず、1年間に一人当たり約51食を食している勘定です。
今後の伸びシロは、唯一人口減が起きている日本以外の上位3国で増加が見込まれる。殊にインドは15億人に成長すると推測だが、現在は人口比での絶対消費量は少なくたった5食。首位に躍り出る可能性は極めて高い。
日本人ならば殆どの人がご承知の通り、インスタントラーメン発祥の地は大阪。池田市にラーメン博物館があり大人から子供、外国の方にも大人気。ふるさと納税でも、本社に工場が無くてもインスタントラーメンが使われるとあります。異論や、やっかみはあるけれど世界的発明品の創業地。世に広めた貢献に敬意を表するのでしょうか。
チキンラーメンの発明は日清食品の創業者である安藤百福氏。アイデアマンで苦労人、NHK朝ドラで放映されたように様々な事業を手掛けた人でした。
自宅の小屋で研究を重ねて完成させ、爆発的人気にあやかる余りに多い偽物を排除し、食の安全を守るため製法特許の公開も画期的なこと。
亡くなる朝にも食して味を確認したほど麺作りに心血と愛情を注ぎ、帰化後も度々騙され、裏切られ、辛苦を重ねたため母校に奨学金を寄贈している人情の篤志家。集大成の安藤語録はビジネス全てに携わる人へ情熱のバイブルです。
大学が名誉博士号を贈ったのは当然。夜間部が無くなったのは世の流れだが、勉学の機会を奪い、熱意と志ある有能な人材発掘を不可能にしました。
未だにロングセラーを続けている世界初の即席麺。伝統の基本の味を守りながらも、形を変え、地域で味を変えること。時代に即した変化と進歩を続ける所に次世代に受け継がれて行くロングセラーの必要条件と麺文化創造をみます。
手軽に野外でも食べられるカップ麺などの新商品もアメリカ出張で得たヒントから世界初登場。今でも進化し続けているのがこの方のDNA。
発売当時は一袋30円。これは店で素うどんが食べられる値段。現在の価格に換算すれば決して安くはなかったけれど、家庭で手軽にラーメンが食べられるというので大ヒット商品に。辿り着いた製法はフライ後に味付け。熱湯を注ぎ、蓋をして3分経てば食べられるのは当時として画期的。「3分、待つのだぞ」、笑福亭仁鶴のTVコマーシャルの訴求力は抜群の効果を発揮。関西的ユーモアが光るセンスは、いまに受け継がれています。
販売当初、食品問屋は値が高いと取り扱かわない。阪急百貨店で販売して以降あっという間に火が付いたのだが、売る場所が阪急本店だったのは幸い。これがもし阿倍野近鉄なら?どうなっていたか想像するだけでも大阪の南北意識を想像して面白い。
同時期に長寿麺というのがあってこれは乾麺で塩味。薬味が少し付くが茹でるため時間が掛って不便、間もなく消え去る運命に。両方を現代風に企業理念とマーケティング戦略から捉えて比較すると興味深い発見があります。今は消費者が独自のアレンジメニューを投稿し、食レポも人気がある。
ベトナムでは現在販売高1位は大阪に本社があるエースコック。一早く進出しており、今のシェアは40%程度とか。ラーメンと言うより現地の味、フォーやフーティウなどの米の麺を多く生産しています。このためベトナム人は現地企業と思い込んでいるフシもあるくらいの馴染みよう。
思い出すのは1999年の中部に来襲した2つの台風。同社はこの時、自社のトラックにインスタント麺を満載して駆けつけました。何故か。HCM市でも内外問わず多くの企業では社員がかなりの金額を集め、これを新聞社に持って行ったのです。地区でも募金を行ったが住民はあまり乗り気ではありません。せっかくの善意が全額現地へは行かない事が分かっているから。また物を寄付すると途中でドンドン無くなってしまう危険性があるとベトナム人は言うのですが、けだし正解。
地方でラーメンを注文すれば出て来るのが即席麺に湯を掛けただけ。また同社はうどんを発売したけれどこれは余りいただけない。旨い出汁を味わうには程遠い。麺はその国・地域の食文化を軸にアレンジする事で発展すると思えます。人口増加は今後もまだ続きますから、生産量も並行して増える可能性もある。麺は国境を越えます。今は現地で製造したフォー用の麺を日本へ輸出し、国内でも人気です。
2位に躍り出て王者エースコックを迫撃しているのがマサン。総合食品企業で業績を伸ばしており、ヴィングループの小売部門を買収し大きな販路を持つに至ったが、その他は群雄割拠状態。
残念なことに世界の覇者日清食品のベトナムでの販売はいまひとつ。どうしてベトナムへの進出が遅れたのか、根付かないのか分りません。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生

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