動き始めた日本企業

2022年1月18日(火)

ベトナム国内での事情も様々にあり、まだまだ予断は許せないが、既に進出している企業は一部で動き始めていると聞き及びます。何しろ此処まで来るのでさえトラブル続き。いざとなれば強硬策、この国ならでは別の顔が出てくるけれど、なってみて初めて分かること。進出前には多くの企業は気がつきません。日本ではおよそ考えられないが、もう待てない。実際に日系企業が被った損失がどの位なのか分らないにしても、従前の状態に戻るまで数カ月かかるのでは、と予測しています。このCOVID-19禍で多くの企業が営業停止、工場停止、撤退を余儀なくされる中、事業を継続しサービス・製品を供給した企業もあると聞きます。操業停止は大変な決断だが、顧客からの注文がなくなった訳ではありません。規制が厳しくなる間でも操業を維持した企業がありましたが、其処には夜になっても寝付けない程で、砂を噛む様な苦労があったという。小さくても一国一城の主、お山の大将が沈没すれば何ともならない。名君になる積りはないが護るべきものがある。誰だってそう思うはずです。現地の状況が把握できない本社。知った被りをする上司に役員。生産停止事情を説明するのに苦労したと聞くが、しかし今に始まったものではありません。現場に任せる度量が無いと責任者は不幸、体を壊して辞めた人が居る上場企業もある。こんな企業は海外に出る資格などありません。現地では毎日のように更新される指示に追いつくだけで労力が要る。また専門家と称する意見もころころ変わる。従業員は命が大事と業務を拒否するが給料は欲しいと言う矛盾、こういう我儘が通用するのが可笑しい。さらに社内に感染者が出れば隔離、その対策は当局から指示。これにかなりの費用が掛かるが会社持ち。問題は生産を停止したため顧客が他国に逃げてしまうこと。何で進出したのか。
しかし工場の稼働を続けたのは本社の目があるからでなく、目標達成の縛りがある訳でもない。そこには日本人の生真面目さ、何としても責務を遂行しようとする気概、現場と従業員の生活を守るという矜持を持つからです。
こういう精神、ベトナム戦争が終結した時、先の保証はないが、建設会社H社や総合商社N社など日本企業の幾つかは踏み留まった。これに気を感じた時の政府はその勇気に感服したとあり、今も活躍している。
何も日本企業だけではないが、こういう目に見えない意志は必ず通じるもの。こうした勇気ある企業が現地で受け入れられ飛翔できるのです。

・収束を見据え 進出を計画し始めてもいい時期かも

これまでCOVID-19に関連したことばかり。やむを得ないがしんどくなりますね。この先はちょっと矛先を変えてみましょう。
いざ進出、と計画をしていた日本企業もありましたが、この事態。日本国内の事情もさることながら、現地の状況を見据えてとおきたいという話も聞きます。何時までも構えるだけではコトは進みません。常に状況の把握をしておいて、潮時になれば実行できるよう算段しておくのは、やぶさかでないと考えます。個人的にも既に2年以上行く事が出来なかったけれど、この間に状況がかなり変化しています。他にも多くの方が訪越を心待ちにしておりベトナムからも動く事が叶わずメールなどでやり取り。ビジネスにしても個人や団体・組織でも直接会う事で親交を温め、より堅固にして行きたいもの。
また初めて進出する機会を持つ方や企業もあるでしょう。やっと、という思いで渡越スケジュールを組まれている所もあるかもしれません。やはり自分の眼で確かめるのが肝腎要です。
気が早い、かも知れないし、進出してからの話あるあるだが、これまでの在住経験の中で感じた、してはいけないことを纏めてみました。
気軽に読んで頂ければ深甚です。

・10月までの簡単な投資状況

感染下であったがベトナムへの投資は結構活発です。1~10月の状況は認可額が約235億ドル(1,1%増)、実行額は約152億ドル(4,1%減)。
新規認可額は入国制限にも係らず約130億ドル(11,6%増)、認可件数は1375件(34,5%減)。追加投資額約71億ドル(24,2%増)、認可件数は776件(14,%減)。
日本の投資はシンガポール、韓国に次ぐ3位。いずれも前年を上回っている。ただし迂回融資があるので正確とは言い切れません。
急激な経済の落ち込みを何とか回復したいのは山々。HCM市へは12月からまず海外観光客を受け入れる方向だが、市のGDP11%を占めているほど。
収束の見通しがつけば堰を切っての投資歓迎は想像に難くありません。
失業率は増えているが、仕事を求めて地方から都会へ順次働きに戻って来ます。
かつての賑わいが何時、何処まで元に戻るかは分からないが、日本企業も待ちに待っている所も多いはず。今から準備を始めても遅くはないが、焦りは厳禁。十分先例を研究、下調べをして臨むことが肝要と考えます。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生