早くから来越して事業をしていた日本人の知人の中にも複数のアパートを購入し、資産を何倍にも増やした方がいらっしゃった。要するに株で儲かった金は不動産に流れるのが構図。こうして事情は日本と少々異なると考えるけれど、浮かれた一回目のバブルは2008年のテトが終ったころ、一年程で終わった。この年のテト(2月早々の旧正月)が終ってからも、不動産価格は上昇すると思われていたけれど、実はテト前が天井だった。これに気が付かず素人は高値掴みで青息吐息。日を追うごとに下落の一方。損切り覚悟でも売るに売れない。もはや塩漬けの一手しかなかったのです。そのまま残せばよかったけれどそんなに余裕がある訳では無く、まさに世界共通の半値・八掛け・二割引の定理。
表に出ないけれど一家は路頭に迷い、離散など四苦八苦。
筆者はこの時に、これからもベトナムは人口がまだまだ増えること、海外からの投資が続いて産業は活性化。都市化は今後も拡大し、個人所得が上昇する。
一般市民のアパート購入はこれからという観点から、開発の進まなかった地域、運河の南側の7区はもとより8区、特にサイゴン河の対岸にある2区の物件は買っておくべきとしていた。市の開発計画図を見、現地を確認したからだが、一般市人は見る事も出来なかった。また日本と異なって二回目は必ずあるとしていましたが、事実2区は開発されて外国人や富裕層が増えたバブルの申し子。
ただ北と南、すなわち首都機能のあるハノイと、過去には東洋一の貿易都市であった旧サイゴン・HCM市とは、経済・金融の中心拠点として、今も歴然とした違いがある。潜在的ポテンシャルの高さは歴史的観点からHCM市とその周辺省にある。これは北から南に人が流入を続けていることからも分かること。
日本の巨大企業がベトナムに進出する際、政府は分かっていながらも北の方に引っ張っていった経緯があります。しかしこうした中でもニデックはHCM市に工場を建設。国家主席が来日した際、京都本社を訪問して北部へ投資を依頼したほど。京都企業、また様々な噂話もあるけれど、永守社長の見識は極めて高く、ベトナムの国内事情をよく観察してお分かりになっていると個人的には高く評価していますが、技術力の高さと独自性、強さが際立っている。
今の日本。東京の超高層マンションが売れるのは、中国人買いと都市機能膨張だが、それでも資金はダブついており、何処に金を回そうかと思案のしどころ。さらに人口動態は日本の総人口が減少傾向にある中、関東圏、特に東京に集中する。日本では人・モノ・金に金融ビジネスが東京に一極集中するため、高値安定傾向は続く可能性は高い。かつての商都大阪、老舗大企業であっても本社機能を東京へ移転する傾向は変わらずで、地方もこの例に漏れないが、政府は真剣に検討せず政策も講じない無能さを証明。国会議員ごっこに明け暮れる。
・ベトナム人が考えた 土地投資は金持ちへの切符ではない
ある識者はこの持論を投稿。この中で地価が上昇した理由の一つに挙げているのが、地価はその過小評価を補うため上昇したという。
即ちその潜在的な収益性に比べて価格が安すぎた。これは不動産鑑定評価での収益還元法と考えるが、これを理解していないと見受ける。この手法は多くの場合、収益物件である商用ビルなどの賃貸に用いられるが、アメリカは住宅もこれに基づく。日本は居宅の場合、近隣物件の取引事例が多い。
彼はいささか杜撰な考え方。具体的に標準と実例を挙げないと根拠に乏しく、超異常現象は富裕層が欲の屋上屋を重ね、庶民は踊らされある時を境に崩壊。
本来なら金融、財政も関連する、企業収益と生産性、造成・建築費、国民所得、購買力などあらゆる検証をしなければならない。バブルとは一体何だったのかを総括し、偽りの原因から学習する必要があります。
ベトナムではこの収益性が認められず、社会発展に連れ土地価格の低さを補うために上昇せざるを得なかった。右肩上がりで上昇し続け実勢価格を上回ったため市場で買い手が減少と言うが勇み足。つまり土地投資はかつての様な多額の利益を保証するもので無いとする。
人口増加は爆発的な住宅需要を生んだが、今は多くの家庭で子供一人が多く、以前ほど急激でない。20年後は不動産を取得するプレッシャーがなくなり、住宅需要はさらに低くなる。市場は2025年~2026年初頭に最低に達する可能性があるとするも論理的でありません。
すなわち持ち家率と狭小性、居住性能と建築品質。都市環境の変化に土地利用地域の明確化。さらに地方へ産業移転と人口動態を無視。人口減少は地価下落の確立は高いとするが、経済成長の先行きと政策を考慮していない。
彼はこの状況を考えると、高い利益をもたらすことを期待する事は非現実的であるとし、不動産価格と投資は市場に拠って決定されるべきとしている。だがこれはあくまでも投資家向けの発信で、自由主義社会の経験のないことが良く解かるだけ。不動産市場全体をマクロ的俯瞰、地域など細分化した都市計画上での土地の最適化に拠る有効利用という観点での見方が出来ていません。
市場とは何か、そのメカニズムを考えたことはなく、結局は一部の勢力に作為的なものに過ぎないのも分かっていません。基本的な経済原則とは行きつくところ人気投票と同じであり、心理学。これに乗せられるのが一般市民。
結論として現時点で不動産を買うべきかに付いては下落を続ける、しかし市場はまだ底を打っていないことに注意は正解。こうなると一部の投資家は経験の浅い投資家を欺くため、偽の土地ブームを作って投機的な手段を検討するかもしれないと危惧する。ベトナムは中国に1年遅れているとするが、勘違いも甚だしくそこまで発展していない。海外の先例も知らず、未熟な思考力が伝わる。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生