動き始めた政策とは

2022年12月20日(火)

・先ずは日本の先進例を振りかえる

日本住宅公団が発足し、昭和32年その第一号の公団住宅が出来たのが大阪府堺市の白鷺団地。鉄筋コンクリート造5階建ての住宅で、トイレは水洗式だしステンレス製流し台が付いた設備は当時として超近代的。高倍率の抽選に当たった人はサラリーマン層が多かった様だが、決して家賃は安くなかった。だが文化的で現代的生活が送れるのは憧れだったし、暮しには満足していました。
しかし法律上の規制から、畳の寸法を当時の設計者は、いわゆる公団サイズと称される狭小なものに苦肉の策として採用。これが先々に影響するマイナス面もあったのです。また住戸内の間仕切りなども簡素になりプレハブ化が進行。
東京オリンピックの7年程前のことだが、まだ完全に戦後復興の側面もあったけれど、爾後住宅開発に影響を与えたのは確か。今はこの第一号団地は軒並み解体され、戸建て住宅として用地を建売業者の売却。不便な地であったけれど野原の長閑な雰囲気から大きく変貌しているが、一部住戸をリノベーション。これがまた若い人に大人気。60年も経つのだが、設備は経年劣化で取り換えだが、躯体はむしろしっかりして堅固。南側の主開口部と北にも面して採光と通風が良い。2DKとか3DKなど当時は斬新な生活スタイル、これを大きく変更して大きな間取りに変更。一部分は昭和のレトロな雰囲気ながらも中身は現代風。何が正解だか?やってみないと分らないが、若者の人気が高いそうで、アナログ回帰すれば精神が落ち着いて安堵するのだろうか。
こうして日本の住宅政策は官が民を引っ張ったようにも取れるが、住宅ローンにしろ、後の各自治体による公営住宅や住宅供給公社のような組織へと拡大し、人口急増期ながらも国民は資金に併せ選択肢が多かったのは幸せと思えます。此処まで来るのに60年も掛っているが、各地で建設されたこの公団住宅は、日本の経済成長とともに都市機能や産業構造が変化、人口動態が変わって行くのに並行して住まい方も変化。夫々の役目を終え新たな形態へ現在進行形。

・ベトナムの場合とHCM市の開発計画とは

英国の調査機関の記事にはベトナムは日本に遅れること50年とある。住宅に関しても様々に当らずとも遠からじだが、ベトナムはこれを短縮できるのか。
この国の60年を経過する住宅は、気候風土、建築材料・方法にもよるが老朽化が極めて酷く危険なためHCM市はアパートの建て替え案件が進行中です。
さてベトナムの住宅はこれまで書いた様に経済発展と共に変遷してきたことが分ります。しかしその裏に一部の富裕層の投資に拠って不動産の高騰を招き、一般市民は為す術が無く、ほとんど指を銜えるだけでしかなかっただけ。無理しても買えないどころか賃貸料まで上がり頑張っても生活できない。では地方に戻ろうかと考えても、能力に見合うだけの仕事など無く稼げないのが現実。
ならばこのまま残るとして、如何にすれば住宅を買い求めることが出来るか。

HCM市当局でも土地の有効利用の観点から、住宅プロジェクトには高層住宅建設の指示を出したが、当然というより必然的にそういうトレンドに入って行くのが都市にあっては自然の流れです。ところが人が増えるのを防ぐために、建設許可を出さないという事態が続きました。要は予想以上の発展に拠る見誤りがあった様で、これという策なしと言っても過言ではない状態だったのです。
だが2010年に承認された2025年迄のHCM市建設マスタープランでは、市の社会・経済における建設、開発計画の指針となるものでした。時の経過と共に都市計画、環境面でのアセスメント、環境問題等への具体的な策に欠けるとか、準備面で不足などが明らかになって、2021年には2040年までの(2060年を見据えて)都市建設の一般計画として再度発表されました。
これにはスマートシティーとして発展、経済再編とサービス産業の発展、またクリエイティブな都市開発として、(開発の遅れた)東部地区の創造的で高度に発展する経済地域を実現する。即ち高等教育と訓練、ハイテク研究とその生産、金融センターと商業サービス開発の推進。4つの郊外地域の区への昇格、これはクチ、ホクモン、ニャーベー、ビンチャンを区に変更する。などの基本案を掲げており、かなり理想的な市域全体の街作りを志向していると考えます。
さらに全体的方針として交通インフラ整備、気候変動への対策、住宅ニーズと公共サービス確保、都市部拡大と既存の都市の再開発(取り分け1区、3区)、都市景観を美しく快適にするための維持強化、緑園都市開発、カンザー地区の総合開発を上げているが、先を見据えた現実的で合理的な思考となっている。
計画を見れば分かるが、これまでコラムにあげた地下鉄の新設、郊外住宅地の拡大、クチ、ホクモン、ニャーベー地区の土地価格上昇、トゥドゥック区の市昇格などが徐々に進んでいることからみて、十分に消化し切れていないものの、市域全体計画の考え方は妥当と感じられ、都市整備実現への姿勢が伺われます。
何れにしろ、ようやく態勢が整ってきた。これからが本番で将来どの様に変化してゆくのか楽しみ。だがこういった開発計画や具体策などは公表しなければ見えて来ないし市民も理解できない。実際、都市計画図はあるけれど一般には分らないし、上下水道などの埋設管の位置図、土地境界の明示など実際に取引に必要な図面でさえ用意されていないか、もしくは見る事が出来ないなど隠蔽してインサイダーに利用されるのではと、疑惑を感じさせることがありました。
ここまで立派な計画案はあるのだが、市民には常に開かれた開発計画を示し、透明性を確保ししつつ知る権利を明確にすることは重要な課題です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生

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