栃木県南西に位置する足利市は、県内市町村では4番目に多い約15万人の人口を抱え、足利氏発祥の地としても知られています。
同市には現在、約4,500人の外国人が暮らしています。中でも、スリランカ人は、2017年春ごろから急増し、それまで最も多かった中国人を抜き、同年初めて市内の国・地域別の外国人住民数で1位に躍り出ました。2019年4月時点の数は656人。日本全国で見ると、名古屋市(999人)や横浜市(895人)に迫る勢いです。百万都市の両市と比べ、足利市では、総人口に占めるスリランカ人の割合は非常に高いといえるでしょう。
寺院、花のきれいな公園が身近にあってなじみやすい街
ところで、なぜ足利市にはスリランカ人が多いのでしょうか?
理由の一つとして、市内に寺院が多いことが考えられます。本堂が国宝の鑁阿寺(ばんなじ)を始めとして、市内には約130の寺があります。足利は、関東屈指の、寺のある街。仏教徒の多いスリランカ人にも、足利はなじみやすい土地柄といえます。
また、スリランカでは、寺院や公園などあちこちに、美しく咲く花の姿が見られます。
一方、足利市には、年間約160万の人が訪れる「あしかがフラワーパーク」があります。四季がないスリランカとは違い、四季折々の花々が鑑賞できる同所は、花を愛するスリランカ人にとっても、人気のスポットとなっています。
このように、スリランカに身近な環境は、似た形で足利にも存在しており、スリランカ人に安心感を与えているようです。
ほかにも、外国人が日本語を学べる「足利コミュニティーカレッジ」の存在があります。日本で働くことを希望するスリランカ人が、現地の日本語学校から同校を紹介されるケースがあるとのことです。
繊維、自動車関連の企業で働く人が多い
足利市は、古くから絹織物の産地として知られています。現在では、繊維工業のほか、機械、化学工業などが盛んです。近隣には工業団地があり、スリランカ人が仕事を比較的得やすい環境にあります。
市内に住むスリランカ人は、繊維、自動車関連の工場などで働くケースが多いようです。現地の企業経営者らの間では、スリランカ人は真面目で優しいといった評判があります。
足利市では、先住スリランカ人が、新たに住み始めた仲間を生活面で支えるなど、助け合い精神のもと強い絆により結ばれたコミュニティーが形成されています。