信じてはいけない ベトナム人の金銭感覚

2022年7月26日(火)

人は長く海外に住んでも、生まれ育った地域のDNAは容易に変わりません。海外に進出するなら相手の文化・歴史、社会を知り、ビジネスではその慣習を知るべき。所謂国民性はある。現地・現場を理解、縁を作っていかないと仕事は進まない。だが簡単に信用するとか、安易に胸襟を開いてもいけない。口達者で親切そうな人物は危険。時間が経てば次第に本性が出てくるのも共通する。

・目先の噂(利益)に惑わされるベトナム人

クチの土地の話を最初にあげました。此処の土地を事業パートナーのベトナム人が買ったのが2016年。この頃、クチに大規模開発の話がありました。
現在の7区、PMH新都市の様な感じだが正確な開発計画ではなく、単に政府が検討中という噂に過ぎません。
結果はその話など霧散。儲かると踏みその分で勝手に流用した金を返済しようと目論んでいた?と言い訳するが、元々そういう気や能力などあるはずがない。
同じような話があって、新幹線が建設され、そのHCM市の新駅がトゥドックに出来る。私はこの近くに住んでいたが、ある日本人が目的を持っていて彼に購入を依頼したのです。だがあくまでもウワサにしかすぎず。もっともらしい話を信じただけ。だがもし保有しておけば今はこの近辺は、道路整備が進んでマンションの新しい街区へと発展していた。先の見通しが甘いベトナム人。

・金も技術も商売のセンスもないヤツを信じない

今でこそ経済が成長、成功した人物も多いが、こうした人は元々金持ちが多く、また別の投資を行って、また儲ける。商売気やビジネスセンスのある人は良い。
然しだ、ベトナムで事業を始めるにあたっては、外国人は外国投資法に基づき認可を得なければ出来ない。従ってローカル事業は名義借りをする訳です。
即ちベトナム人名義だが資金出所元は外国人。仮に借用書を作成しても意味など無いことを前提にすべき。小銭は出すが一定額を超えた金の話は危険。
これは不動産も株式でも同じこと。不祥事を起こされても、何を言っても主張できません。こうして何時の間に盗られたなど理不尽な目にあった外国人は山といる。かつてはレストラン経営にしろ、不動産の購入なども外国人は買えず、現地で小商いをするとなれば名前を借りなければ仕方なかったのです。
よくある例。帰国の辞令が出て退職、そのまま居残ったなんて人は結構いる。日本語が出来るからとか、日本企業で一緒に働いていたベトナムが気に入り、でも自分の名前では会社を起こせないので、こうした何らかの縁がある現地の人に依頼したとか事業を始めた人も多くいます。
しかし、相手に金はない。仕方なく信用して全額出資する、こういう話が彼方此方ありました。言語道断で、他人の褌で相撲を取る輩を信じてはいけない。
何れ騙され、裏切られるのは時間の問題。かくいう筆者もそのくちだったが。
古今東西、世界各国人間ならば考える事に大きな違いはありません。なかにはまともな人も居るが、大概は否定するのが正解。まして会社を作る程の金など見たことも手にしたこともなく、学才も金もない人。普通に仕事をしていれば持ち金がゼロである筈はありません。
人の気持ちなんて移ろう。感謝はその時だけと心得る。何につけても共に事業を起こすのなら相手にも相応の出資を求める。できなければ止める。これで仮に友情なるものが壊れるならそれが道理です。
長続きする秘訣、何のことはない、金と色と感情を別けること。

さて、前の話、このクチの土地を買った資金。彼にある筈はない。その仕掛けとは、ある日本人T氏が夢と目的をもって彼の名前で土地を購入し家を建てた。
更に先の運営資金を確保するため株式を彼名義で購入。ところが、心臓の病であと半年との医師の宣告。そこで家を彼にやるがその一部を✕✕に渡すこと、株式は売却して目的の資金にするため、日本に居るさるベトナム人に渡す。等々を直にベトナムに来て話をしたのです。ところが、あっという間に彼は全部を売却して我が手にしてしまった。他人の金でも一旦手にすれば自分の物、何があっても痛くも痒くもない。だから能力もないのに無駄遣いを平気でする。

・一度あった事は性懲りもなく何度も起こす

実はその前にも店舗を新しい場所に移転。ところが事前の計画など何もなく、行き当たりばったりで無責任極まりない。与えられた仕事はこなせるが、自ら開拓は出来ず、財務経理は分らず、目標設定もできないほど知恵がない。目の前に置かれた肉を見た犬と同じ、他人の金に目が眩んだのです。
T氏は彼のことを気に入っていたため、何とか事業を成功させたという想いがあって、死を目前にしていわば遺言として言い含めたのです。小学校すら出たかどうかわからないが、苦労したことは確か。しかし能力に見合わない甘やかしと過大評価は相手の人生を変えてしまうのが見えている。これには忠告した。また知り合いである現地大手企業の社長からも話してくれるように計らったが無意味だったのです。

同じような話はごまんとある。ある実習生を採用し、3年経って帰国する段にベトナムに彼らのために工場を建て、仕事を任せた社長がいた。一生懸命日本で仕事をしてくれた。自分が苦労した若い時を重ねたのだが、これが落とし穴。
何年経っても軌道に乗らない。毎月赤字で金ばかり請求してくる。思い余って相談に来たので諦めて閉鎖する様に言ったのです。ところが出した金が惜しい。何とか初期投資を回収したいと折角息子に譲った社長の椅子。彼にベトナムの窮状を伝えた。これにも反対したのに真面目なのかバカなのか当面は現地駐在と相成った。事務所に彼が来たので、この続けても結果は出ない。日本の会社をどうするのかと正しても聞かない。潮時が肝腎。
金は天下の周りものというが、それは場所と相手に拠ると心得るべし。そんな善意の言い伝えなどビジネスには不要。錯覚でしかありません。しっかり投資、儲けて、配分する。感情は押さえる、人生浪花節・義理人情話にほだされず、余計なこともせず関与しない。が鉄則です。

・了解もなく勝手に判断

日本では一定金額以上の支出は稟議に基づく。ハンコだけでイザとなれば責任逃れは上司の常套。ベトナムの商店などは現金をしっかり手元に握り従業員に金を扱わせない所が多い。個人商店だけでなく高島屋でも日本の会社で菓子を買っても従業員に払わせず、レジで先に支払ってそのレシートを見せて商品と引き換えることがある。これは何で?雇用者を信用していないから。

ところが一般の日系企業での事。本来はこの企業の社長しか発注できないのだが、ある時彼が話したのは、いつの間にか新しい設備が入っていた。従業員に権限はない。探ってみるとあるスタッフが事前の良かもなく勝手に注文していたと言う。こうなると言い訳しまくり。だがどんな事情があっても越権行為で、急いでいても判断や決済を求めなければならない。こんな事すら守れずしかも発注先は言わずと知れている、身内知人が相場。何か胡散臭い事情があるのは確かで、こんなことは日常茶飯。
組織というものが分かっていない単なる集団。これを物知りはベトナム戦争に勝ったのは団結力だと言うが、それは全くレベルの違う次元で自己中心。
感謝の気持ちや恩義を感じるのは稀、嫌なら即辞職、出てこない。辞めるなら逃げ足速くメールがあるならマシ。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生