産業変革期の内容と今年の成長目標

2020年12月14日(月)

毎年、10月にHCN市ではMETALEXが7区の国際展示場で開催され、多くの機械メーカーや部品製造企業が各国各地から参加します。この展示会には日本からも企業が参加、視察に来越する団体も多い年中行事となっている程。
出店各社の製品をみると、年々地場企業の品質は良くなって来ている事に気付きますが、今年はJETRO、ITPC等と協力してオンラインでの開催となりました。
このようにビジネスに様々な支障が出てきていることは歪めない事実ですが、一方でテレワークとオンライン取引が急速に普及、従来の商談はこれに代って新取引様態として行われ始めたのです。
我が国でもこうした手法は使われたが、今後とも積極的に推進すべきという考えはそれほど強くなかった模様。むしろ弊害もある様で、ビジネスにおいても大学などの教育現場にしても、一部を除き急速に展開する様な雰囲気ではなく、大手企業でさえ解除。今のところ性急に採用されるには至らない気がします。

・オンラインで急速な進展を見せるベトナムのビジネス様態

ベトナム国内では実際にテレワークが感染を契機として拡がりを見せています。新聞社の広告部門に勤務する友人は、山中で有機農法用地を開墾しながら仕事を進めていると言い、商工会議所も現在の所、感染予防のため直接面談形式ではなく、セミナーやマッチングは全てオンライン対応だと話しています。
この様な形での貿易や商談が従来の企業間ビジネス方法に代ろうという気配は明らかで、急成長する可能性は高いかと考えられます。
報道によると、ベトナム繊維産業は中国から原材料仕入れが出来ずオンライン商談会の開催を中国浙江省の貿易パートナーと進め、原材料の調達に不安を抱えるベトナム企業60社と浙江省側サプライヤー企業100社とで、ベトナムの展示会運営企業Vinexad社が仲介して実現した例を見受けます。初開催に際して、まだ慣れない企業が大半であり、B2Bで会議を行うためにアプリの使い方を教えること、相手方の事業規模や信用度の確認が重要課題になります。
さらに国際間取引なので業界に通じた堪能な同時通訳者が必要であり、これは商談会の効率的でスムーズな運営と信頼性を高めるには絶対的必要条件です。
このためV社では浙江省政府側の担当官庁と連携、現地企業の状況、即ち輸出経験、研究開発力、製造製品力などの条件を先に確認したとのこと。未経験の分野ながらも新しいビジネスモデルとして評価され、取引額は少額にしても、国内外の企業と柔軟かつ迅速な取引の将来的な可能性が実証できました。だがサプライチェーンの中国集中を忌避出来ない現実を見せつけられた一面である。
もちろん若い人にとって、こうした通信機器を使いこなすのは苦渋でもない。だが人々の生活に密着する小規模個人店は馴染まず、進行中の一部での現象が全体の流れと捉えるのはいささか過剰な評価、事業者間で格差があります。

・今年の経済成長の予想 その背景はサプライチェーンのシフトにあるが

菅首相が10月18日~20日の間ベトナムを初訪問。中国の南シナ海での海洋軍事化に協力して対処するため、日本が製造する防衛装備品を輸出する協定の締結や、商社を通じ畜産分野でITを支援するとか。就任最初の海外訪問先として選んだのは、日本政府が進める世界的サプライチェーンのベトナム移転に日本企業が深く関与する度合いからしても先ずは妥当でしょう。

これを裏付けるように、ベトナムは疾病下でも他のアジア諸国に比して健闘。計画投資省・海外投資局に拠ると、9月までの外国直接投資(FDI)は総額約212億ドル、前年同期の81,1%に達したと発表しています。
また外国銀行の調査では、進出企業の38%が部品や原材料供給先拡大を計画していると回答するなど、感染拡大で世界的に投資が激減するなか、ベトナムのFDIは予想以上の成果を挙げており、増加する可能性は高いと考えられる。
この理由には政治的に安定しており、経済発展が今後も継続すると思われます。国内市場の拡大と中流階層(消費)の増加。人的資源が豊富。ASEAN諸国と近い地理的条件など、言い尽くされた常識の範囲の評価を越えません。
また8月1日に発効したEUとの自由貿易協定や、環太平洋パートナーシップ包括的協定など、政府が各国と自由貿易協定を積極的に締結している事も材料と受け止められます。しかし課題は残っており、これもかねてから指摘されている通り、行政面での不透明さを排除する事、インフラの整備と物流サービスを充実させる。労働者の質的向上、地場企業の管理・製造能力を強化するなど、投資環境を総合的に改善する条件が投資拡大をするために求められます。
これらは中国から生産拠点のベトナムへの移転が影響していると考えられる。しかし前のコラムにも指摘した通り、自国の製造業の実態が分かっている経済専門家や、先進海外諸国との接点が強くグローバルな視点から、企業は自社の経営能力や生産に関し、品質力や開発力など慎重な行動を求めているのも事実。未熟な生産力しかない企業の改善、工業化に必要な裾野産業の育成に注力し、足許に留意すべき事が多々ある状況を一方では考えるべきです。
こうした中、アジア開発銀行はベトナムの今年の経済成長は前年比1,8%増に回復するとし、インフレ率も3,3%の上昇、来年は3,5%と見込むと発表。 またシンガポールのUBO銀行では、今年は2,8%、来年には経済が復活して7,1%に上昇すると予測しており、これは感染制御に成功し、順調に国内経済と生産活動が回復している状況を判断したものとしています。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生