ベトナムを取り巻く世界の情勢 ロシアと中国の存在は大きな影響

2023年9月20日(水)

COVID-19が世界経済に与えた影響は極めて大きく、さらにロシアのウクライナ侵攻も深い影を落とし、論客もどのように収束して行くのか全く分からない。そこに来て兼ねてからの問題が一挙に噴出した中国の不動産バブル終焉。
複数の大企業は自転車操業を繰り返し、社債償還日に資金手当てが出来ず返還期限の3年延長も疑わしく、利息を払えなければデフォルトは時間の問題。
何しろ需要を上回る供給がある住宅開発。完成物件でさえ一戸購入すればもう一戸貰えると謳ったところでお菓子のオマケではあるまいし、不要なお荷物を背負こむ人などだれも居ない。この様な投げ売りは不信感を招くだけなのに、工事は全ての現場でストップしたままで、完工の目途が立たない状態では尚更だが、購入者にも引き渡しが出来ない。

儲かると算段した責任は地方政府にもあり1900兆円の不良債権をどう処理するのか。一時的に財政が豊かになったのは泡沫の陽炎、立身出世を渇望した役人の不始末でしかありません。こうなると埋めた地雷を踏んで自爆するか、粛清される恐怖政治が待っているけれど、中央政府は無関心を装い責任追及にダンマリ戦術で野放し。批判を日本の水産物へ向けて躱すあくどさ。GDPの約3割が不動産、見せかけの成長も崩れ去り経済はガタガタ。国家も危ういが、世界へマイナスの波及効果は計り知れません。対中国輸出入第一位の日本など余波をもろに受け沈没寸前となる瀬戸際なのに危機感は全くなく対岸の火事。
ベトナムも先の状況は赤信号。中国がクシャミすれば肺炎になるのです。

世界の部品供給網見直しで、相当数の外資企業が依存していた中国から逃避を着々と進めている状況では空洞化も起きる。おまけに法律を改正、有無を言わさずスパイに仕立て上げる得意の戦術に打って出て、技術やノウハウをとったうえにでっち上げ容疑で逮捕、収監。危険度が高すぎ現地で操業などしている場合ではありません。損を承知で早々と撤退他工場を移転する企業が今後急増する可能性は高い。専門商社など貿易は激減、先行きは暗く復活の見通しなど立たないとするが、将来の日本の暗い有様を予見しています。そこに日米韓の有事に向けた結束をこれ見よがしに開催。加えて半導体のあからさまな規制は中国封じ。さらに対立の激化と分断を煽っているが、仕切るのはもはや世界の警察国家でないアメリカ。同盟国と言うが何かあれば他国のことなど考えない。
中国は処理水をネタにして国際事情が分からない国民を扇動。これまでの通り、自らの愚を隠蔽、一方的に根拠のない嫌がらせを始めたが、香港市民は流石に冷静を保っている様子です。

・トルコはどうする考え

一方トルコはエルドアンが大統領に選出されたが、プーチンとゼレンスキーの両人を仲裁できる唯一の立場を自認していた。しかし此処へ来て怪しい雲行き。
どうやらプーチンがトルコの全方位外交に嫌悪感を深め、合意を破棄して黒海での穀物海上輸送を邪魔してイヤガラセ。トルコがウクライナに売った同国製無人機の性能が良すぎてロシアに脅威をもたらすとは何事かと言わんばかりに激怒し距離が離れてゆく感じ。ところが、そこはしたたかな曲者エルドアン。

兼ねてからのNATO加盟が承認されない要因に、イスラム国家としてかつて国内で起きた民主化運動を阻止した経緯を疑問視する国もあって、加盟の是非はお預けのまま。それではと、オスマン帝国時代から続く東西文明の十字路。これまでロシアを通って、東へ伸びていた経済回廊を過去の旧ソ連邦から独立した国を経由し、中国寄りを模索。どうやら上海経済機構を意識した戦略に切り替える構想が進みつつあるようだが、混迷極める中国がこれまで通りの状況に居られる道理は無いし、エルドアンの国内独裁体制が何時まで続くのかだが、どうやら計算通りに国を強靭化できるまでには至らないのかもしれません。
トルコの様にかつての栄光の復活を目指して宗旨替え。分断離合集散が顕著になれば、もう何が起きても可笑しくなく感覚が混乱して正常心を無くすだけ。
アフリカ諸国もロシアの思惑通りに踊らず、殆どは中立を装って様子見の構え。だが食糧危機が進めばロシアから離れる国が増えるのは必至。食わせてナンボが古来親分の証であるが、背に腹は代えられない。では中国に傾くかと言えばこれまでの経済援助という名の下での支配から、良くは思って貰えないみたい。

衰退傾向の大国中ロ?は歯向かう諸国へ牙を剥くかも知れず、こうなると窮鼠猫ではなく、トムとジェリーの様に、アメリカに引張り回された鼠連合が窮猫を食むことになるのか。ここぞとばかり領土の奪い合いと死守、奪還が明確化。
日本もこの渦中から絶対に逃れられないが、殆どノー天気状態。聞くところ、北海道には自衛隊が増強され迎撃用のミサイル配備も強化しているようだし、南方は尖閣を抱えているけれど、先行きの占拠を意図した中国海警局ほぼ戦艦に近い装備の船がその航跡を記録(アピール)するかのように動き回っているのに、これまた中国人団体観光客解禁歓迎とうわのそら状態。
どうする外交!

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生