ベトナムの消費市場を見る中国 国際化とは

2024年8月8日(木)

中国べったりで中国企業が台頭し始め、ジワジワと安い中国製品が増えてきた結果、ベトナム国内の市場を席捲するのか。
こうなるとEV車も価格が高くて、寄せ集め部品の集大成ビンファストから、安い中国製に取って代わられる日が来るのかと戦々恐々。こんなシナリオなど想像しなかったが、ベトナムへ強烈な先制パンチを出した。ベトナムは全方位外交なんて都合のいい方便、権力と金の流れには敏感に動いている。こうした国際情勢と政局の目まぐるしい動きは注視するべきです。
そこへ対抗するためにビンファストも6月になって低価格EV車を市場に投入してきたのです。さて消費者はどっちを選択するか見もの。
其処に来て地場企業との格差は未だあるが力を付けてきた。すると競争力が付くので市場は激化するけれど、殆とんどの地場企業は勝負にならず、負け戦に転じこれが価格を押し下げて行く要因となる訳です。
さてチョン主席が死去。後継者のラム氏は路線を引き継ぐというけれど、こうした経済的センスがあるのか良く解からない。果たしてどれだけ事情が分かっていて、どのように経済をかじ取りしてゆく積りなのか。

消費者はこれまで安価だが壊れ易く、デザインや機能はイマイチだが、これで満足した。豊かになり可処分所得が出始めると高品質・高規格・高機能な製品にシフトする。しかし多くの中間層は其処まで行かないので、そこで中国製品が流れ込んで国内市場を刺激、特に二輪車、EV車に影響が出て来る。かつて中国製・韓国製バイクは壊れ易く、フェイクも多かったので程なくして撤退。中古品でも日本製が結果としてお買い得だったけれど変化が出てきたのです。
即ち大攻勢を掛ける中国製と地場企業製が激突しそうな気配が読み取れる現在の状況となっている。

例えば電動バイクにスクーター、これは典型的な商品事例として挙げられる。国内に工場がある日本企業の製品はまだ健在だが、販売台数は年ごとに前年比を割ってきている状況に間違いない。品質やアフターサービスを誇る日本製だが二の次、安いが壊れ易い製品しか買えない人もいて、二極化が進行。
ベトナムは大消費市場として魅力度が高い。高度成長の結果、所得が急上昇した頃を分岐点として消費構造が変化しました。これを見た中国は黙っていない。
今後の成長株として取り分け注目するのがITと情報関連産業。若くて能力のある留学生が起業。国内だけでなく語学力と行動力、さらに知識を持って海外に雄飛している。だが日本の先を見据えるのはアメリカ上陸なのです。
大きな産業の転換期にあるのに違いはなく、これをどのように捉え柔軟に対応してゆくか。しかし多くの進出企業は其処まで至っていないかと感じます。
さらに長く操業を経験、従業員も育ってきた。会社としての認知度も上がり、安定して業績は伸びているし、現地採用者から管理職や役員も出て来ている。

だが何時まで経っても殆どはこれまでの本社のやり方、指示通りの運営。時代、時流、現地の変化に合わせて企業を変身させる必要もあり得ます。個人的にはこうした人材に現地を任せる。こんなことも決断すべきと考えるのです。
もう20数年操業する7区EPZ内の有名企業、日本人は居ません。日本語のできる現地スタッフが日本の本社とやり取り、生産して輸出。中に国内市場向け商品も現地のアイデアと企画開発。雰囲気はまるで違い活き活きとしている。何らかの事情ゆえに撤退するより、こうした方法も有りではなかろうか。

・グローバル化とは 知識よりも経験から生まれる知恵を活かすこと

日本企業はグローバル化という命題をあげているが、責任ある役員や管理職が海外の現場を分かっているかと言えば、現法や自社工場であってもそうで無い。
念願の進出を果たしたとしても、彼の国の地理、多様な文化伝統、気候風土、ビジネス習慣とか風習に生活などを分ろうとしない人が多く、共有されていない事は随分ある。相手の国を知らずんば如何ともしがたく重責など果たせない。
こうなると常に問題になっているのが、本社と現地の認識の違い。現場の状況を知らないにも関わらず須らく本社の指示通りにとの結論に収められ、間に挟まれた現法社長や駐在員は幾ら言っても埒が開かずに苦労する。無理解の果て社員が辞職した例も見てきたけれど、勝手な解釈と勘違いをしてはいけません。

本社の役員が進出を決定。いい所とりをするけれど、後はよろしくと着任した社員が苦労するケースも見聞するが海外経験の少ない企業に多い。無気力役員が本国で安穏、海外を全く分かっていないだけの話で責任回避にすぎません。
現地の実態や事情に合わせ思う存分やってくれ、なんて親分が度量のある話を聞いた試しはない。能力が無く決済権限移譲を恐れるのか、現地を信頼、信用していないのかと考えるけれど責任だけを求めるのは間違い。また雑用をさせるのはマイナス、然るべく役目に専念する時間と経費を惜しまないのが重要。
また外地に赴任しても休暇があれば帰国。国内を隈なく回って相手の国を深く知ろうという気が無ければいけないし、現地の料理が食べられないとか家庭の状況がどんなのかも分からないとか、興味もないのであれば早く交代した方が会社や現地従業員のためになるが、こうした事例も身近に結構ありました。
欧米の駐在員など、例えばテトなど長期間の休日に近隣諸国を訪れていたが、これまで経験した文化とアジア圏の違いが面白いからということや、帰国するには遠くて費用も掛かるという事情もあるけれど、出会ったベトナム在住者はこんな風に話していた。これは先に大きな差別化要因として戻ってきます。
近頃の若い人は海外で働きたくないという考えだとか。しかしそれ以上に先ず役員などが海外経験をしていないのであれば言語道断、社内に外国人スタッフが一名も居ないのなら話になりません。
ある有名老舗企業、国際課は以前からあったけれど全く機能せず名ばかり。
ベトナム工場建設中にベトナム人が入社。しかし上司は外国人との接点がなく指導できないとは笑止千万。若手社員同士は仲が良かったのだが本人は徐々に勤労意欲が減退、長く続かなかった実態もある。

海外に駐在員事務所を設立したからこれで海外進出を果たしたとか、実習生が勤務しているから我が社もグローバル、なんておこがましいにも程があり何の役にも立たないがこうした状況は実に多い。海外勤務は結構シンドイ。
だからこそ如何に面白く生活しようとか、楽しめる環境作りは良い製品作り、R&Dや技術向上には必要不可欠な要素であり、現地駐在責任者の腕に掛かっている。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生