マサンはグループにMasan Hingh‐Tech‐Materialsという企業がある。この企業の子会社タングステン・マサンはタングステンを取り扱っており、さらに半導体やレーザー、光ファイバーの製造に必要とされるフルオライト(蛍石)のサプライヤーでもあるという高収益企業なのです。
実はベトナムは世界有数の希土類産出国。その埋蔵量は中国に次ぐとされているが、まだ始まったばかりなので、充分な調査も出来ておらず、採掘から精製、販売までのノウハウにも乏しいとされている。さらに政府は法改令を改正して輸出に関しては戦略的物資として政府が輸出管理をしてゆく可能性もあります。
同社は加工能力、品質管理に優れており、かつ納品への信頼性もあるとされ、世界需要を反映して各国から注文が絶えず、業績もうなぎ上りにあるが、価格は今後も上昇傾向にあるため、成長への期待度は極めて大きいとされており、グループにとって、長期計画での基盤強化となり得る優良部門でもあるのです。
現在のところ希土類を輸入に頼っている日本、あまり知られていないけれど、ベトナムからも輸入しており輸入は年々増えている。この先、どのように協力してゆけるのか課題で、相手が貿易優位に立つ可能性だってあり得ます。
マサンは元々インスタントラーメンや調味料など製造販売していた企業だが、いま最もベトナムで大きな企業グループであるVinグループが自動車生産を行うにあたって、同社のグループであったVINマートなどをマサンに買ってもらい売却資金を充当した経緯がある。VINのコンビニなどは規模が小さく、利益より売り上げ重視をしており、地方への展開スピードは速かったけれど、取り扱う商品は少なく、オリジナリティーも自社開発のPB商品もない状況。これでは日本から進出していたファミリーマートなどに比べて見劣りもしたし、基本的な戦略にノウハウなど欠けていたのは、はっきりと見えていました。
Vinグループとマサンの社長は共にロシアへの留学組で親しい。そこで所謂不採算部門であり、お荷物でもあったけれど買収に応じた形。しかしマサンが扱っていたのは食品。いわば得意の流通分野でもある訳で、これをきっかけに店舗の整理統合と改修を行い、マーケティングを駆使して見事に蘇らせました。この手腕には現地の小売・消費市場を見て来て、日本や韓国などの大規模小売企業が進出、またドイツやマレーシアフランスなどからも進出していたけれど、その結果、撤退や事業譲渡の経緯を歴史的にみて、現地の生活者の消費支出が経済成長と共に上昇し、消費行動や市場構造、購入する商品内容、トレンドが急速に変化してゆく過程にあるけれど、この社会の変化、流れにうまく乗れたことにも成功の大きな理由があると考えられます。こういう意味でVinグループは大きな損失を出したという外ないが、そのままならどうなっていたか。
・マサン 小売部門であるWinCommerceの躍進
年初2ヶ月間でWCMは145もの新規店舗を拡大、店舗数合計では4737店となり、さらにネットワークを広げ、売上高を32%も急増させています。
現地経済記事は特にWinマート+農村モデルが新規買い店舗数の85%を占め123店となったという重要な戦略を採用したことが見事に成功したわけで、またこれは売り上げと店舗目標を大きく上回ったと分析しています。
これまで小売企業の多くは外資系、地場企業も購買力のある、また消費に関心が高い若者層が多い都市部に主に出店してきたけれど、経済成長は農村部にも波及して生活様式は此処でも大きく変化していた訳でこれを全く見逃していた。
外資系進出企業がその資本力、また長年の経験で培った戦略や商品力があり、これには地場企業が太刀打ちできなかったけれど、筆者が見て感じて来たこの30年近くの間、地場企業は力を付け、地場ならではの戦略にノウハウを密かに磨いてきたのです。この先どのような戦略を講じるのか楽しみでもあります。
報じられるとところでは、Winマート+農村システムは2184億VNDに達し、63,4%の強い成長を遂げた。Winマート+アーバンは2034億VNDに達し、20,6%の伸び。ウィンマートシステムは2180億VND、前年同期比では20,9%の成長を達成している。
この戦略は北部と中部地域に焦点を当て、店舗を集合させネットワークを通じてリーダーシップを強化して優位性を確立するとしている。これはドミナント戦略をまだ農村部が多いベトナム流にアレンジしたものだと解しているけれど、これらの店舗は全て利益を出して会社に貢献するとしている。この点においても明らかにVinグループ当時とは全く異なった経営思想、戦略が見て取れる。
・株価が急騰 その主な原因とは!
株式市場ではこのMCH株価が流動性の急増で劇的に上昇したと現地紙が報じています。この理由は業績好調もあるけれど、海外進出を果たし市場拡大を行う積極的で戦略的な企業姿勢があり、同社は外国人の株式所有比率を100%にすると言う通知を証券委員会から通知を受け取った。これは機関投資家向けのファンド誘致が目的であり、世界市場への進出を行うための必要条件であるとしており、希土類が不足する中で極めて強い企業に成長してゆく期待がある。
最大級の外国ファンドの一つで15,000億VNDを保有するVaneck Vectors Vietnamは、今年の第1四半期に新規MCH株をポートフォリオに加えると発表したとされ、650万株、これは金額にして3,000億VNDを受け入れる見込みとなっているとある。すでに海外投資家がこの企業に大きな期待を寄せている証拠でもあり、これに拠り数千億VNDの需要を生み出す可能性を秘めており、同社の株式はさらに新たな価格へ押し上げられる可能性があります。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生