ベトナムコーヒー 数々の話題

2020年2月17日(月)

HCM市内では至る所に沢山のカフェがあります。値段は店や種類にも依りますが、3万(150円)~9万VND(450円)ほど。最近オシャレで感じの良い店が増え、スタッフの接客マナーも随分良くなりました。
テラスがある店なら木陰でときの過ぎ行くままにゆっくりできるし、暑ければ冷房の効いた室内で話に興ずるのもいい。どの店もほぼWIFIが使えるし、何時間居ようが嫌な顔をせず、ベトナム茶を何度も淹れに来てくれるサービスが嬉しい。路地の中に隠れ家的なカフェもありここ何年かでケーキが美味しくなっている。個人的には事務所近くの落ち着いた雰囲気の店が好き。一人客が多くて静かです。
オフィスでコーヒーを飲む時はビルの前の路上店で持ち帰り。500CCもあるカップに入って1万VND(50円)、安くて旨い。かつて彼方此方にこういう露店があって20円~30円位。プラスチック製の椅子に座り長いスプーンでカシャカシャと氷を混ぜて飲み干す。こんな長閑な時代が懐かしい。
さて7年ほど前に進出したスターバックス。鳴り物入りで開店した当初、物珍しさに新しい物好きなHCM子が列を作った事もあったけれど、薄くて物足りなく値段が高いだけ。何時までもつのかという話題が持ち切り。2年前にできた事務所近くの韓国系ビル内の新店も客は少なく閑散としています。
他の外資系の店も軒並み同様。どうやら欧米のスタイルは合わない様で、店舗の縮小や撤退を余儀なくされています。HCM市ではたっぷりのコンデンスミルクを入れた甘いCaPhe Sua Da(アイスミルクコーヒー)が好まれるが、市場や客を甘く見たのか、戦略が甘かったのか。
これに反して国内のチェーン店はシェアを順調に拡大、海外へ進出する動きもあるというのです。開発と高額賃料が影響して店舗はビルド&スクラップ状態。暫く行かないと、エッ無くなっている?などはしょっちゅうです。
その一つハイランズコーヒー。幅広い客層の集客に成功したと言われ、飲み物以外にランチも充実して美味しい。市民劇場の裏にある野天の板敷席が一番気に入りでしたが、思い出と共に消えました。またダイヤモンドプラザの裏にも賑わっていた店がありましたが無く、最近は大型ショッピングモール内にあると聞きます。日傘を立てた戸外が似つかわしく、絵になるHCM市のカフェ。
フック・ロンはドンコイ通りの小さな店でしたが、コーヒー以外に各種の茶が揃い、値段は少々高い目だが品質は誰もが認める所。これが発展理由かと思いますが、現在は市内各所に増え、イオンモールや7区PMHのショッピング街など立地の良い所に出しているため何時も満席の人気です。
日本人にもお馴染みのチュングエン・コーヒー。学生の時にベトナムの産品を有名にしたいと一念発起で起業。これはNHKでも特集されました。
以前はフランチャイズ店が多く管理は行き届いていませんでした。店舗の内装も統一されず店員の質やサービスもバラバラ。自社での店舗開発とマニュアルは無かった様で名義貸し。現在は高級仕様のチュングエン・レジェンドを運営しており、種類は沢山増えたが余計に分かりにくい。
また一時はイオンと組んでコンビニチェーンの合弁先となりましたが、解消。思うほど業績は伸びませんでした。意欲だけでは何ともならないのがVNBiz、
思惑通りにゆきません。経営資質と基盤の脆弱さ、経験不足、誇張を見ます。在住者は何でイオンが飛びついたのか疑念を持っていたので当然の成り行き。
本当の現地、内実を知らなければ分からないことだらけのベトナム企業の証明。
最近ではコーヒーの輸出をしている企業が直営店の運営を始め、徐々に店舗が拡大しています。これを受けて他の企業が続々と参入。強みは自社ブランドなので安心できること。これには観光客が買う安いコーヒー(グラインド)には、トウモロコシなどを入れるとか色を付けた偽物があり、こうした悪評が避けられベトナムコーヒーの品質をPRできるメリットがあるとも言われます。
友人の経営する会社でもHCM市などにカフェを持ち、高原地帯の山地を開墾し自社で有機栽培に取り組んでおり、日本人農業専門家の指導を得ています。いまコーヒー屋の開店が退職後のブームの韓国。昨年だけでも14000店が新たにオープンしており、輸出の引き合いがあったという。
ベトナムのコーヒー輸出は世界2位で、180万トン。ロブスタ種が80%、アラビカ種が20%栽培されていると聞きます。一番美味しいのはチョンと言われるもの。イタチが食べた実がそのまま排泄されたものだが、殆どが偽物。パッケージにはご丁寧に動物の絵が描かれている商品もあるが如何にも怪しい。
コーヒーのメッカ、バンメトー(ブンマトーとも言う)市にはチュングエンが運営する広大なコーヒーパークがあり、産地の味が直接楽しめます。また国立コーヒー研究所があって、品質の改良などを行っており、現地在住の日本人と訪問した事があります。また今年からはコーヒー取引所が開設され、生産者に適正な価格で安全な取引が出来るよう改善されました。
だがこの地はラオス国境に近い高原地帯。ラオス産コーヒーはまだ初歩的段階、品質が劣っているため単独で取引は難しい。そこで山を越えてベトナムに運び込まれ、ベトナム産として流通しているという危うい話もありますので、確実な販売店から買うのが正解です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生