プノンペンとシェムリアップ ニ都物語 カンボジア②

2021年4月9日(金)

・ひとつの映画

キリング・フィールドという映画があります。まさに「クメール・ルージュ」、
赤いクメール人ポル・ポト支配の中、アメリカ人報道記者のカンボジア人通訳兼コーディネーターがいわれなき拘束。農村へ追放されて強制労働を余儀なくされますが、手引きで溢れる屍を越え命からがら脱出。アメリカに渡り家族や支援した旧知の記者と再会する奇跡の生還実話を映画化。
この内戦で多数の教師、医師、僧侶など知識人が意味も無く殺戮され、近代化が大きく遅れた原因になるが、爾後に生まれた若い人の時代になりつつある。
ポル・ポトはフランスに留学した人物で、共産革命を志して無学の者を扇動。子供に銃を持たせ、多くの人を農村の労働キャンプに送り、世界に類を見ない300万人もの同胞を非道無体な拷問の上虐殺。優秀な革命思想家でなかったされるポル・ポト。理想という名の許、無辜な人を利用したのは劣等感の暴発。
また数百名といわれる日本人妻も消息不明。国籍離脱すれば日本政府は無常にも一切関知しません。
東北部ウドンには400年もの昔、日本人町があってメコン河をはるばる遡り交易していました。アジア各地に拠点を置き、名を轟かせた商人呂宋助左衛門を頼ってカンボジアに足を留めた山田長政も故あってその一人。後アユタヤで活躍。白石一郎の本に詳しいが、往時の痕跡は残されていません。

・プノンペン ベトナムからバス旅行

プノンペンは中心部でも秘密めいた横道があり、覗けば雑多な下町的雰囲気。そこはドキドキ・ワクワク、ディープなワンダーランド。ガイドブックには載らない人知れずの隠れた迷店があって、無類の偏屈店主が気の合う好き物客を心待ちにしている。これが世界の相場だが、暫く行かないと前に来た場所が分からない位の成長ぶり。ベトナムよりもフランス度を高く感じます。

HCM市から飛行機で約1時間。国際ツアーバスはバックパッカーの溜まり場、ファン・グー・ラオ通りの旅行会社から頻繁に出ており便利。以前は本数が少なく、また国境で乗り換えなければならなく不便だったのが今は全て直行便。豪華2階建バスも投入され、車内にはトイレが付いていて女性の一人旅も安心。
ベトナムがテトの時、此処は過ごし易い気候。地に付いて回れば何事も興味津々。時間に余裕があれば昼間の長距離バスの旅が断然いい。

朝7時頃にHCM市を出るとプノンペンには2時前後の到着ですが、バス会社によって時間帯が変わります。座席は切符を購入するときに決めてくれる。
ベトナム、カンボジアそれぞれのバス会社が運行していますが、ベトナム側の乗務員は簡単な英語すら出来ないので何をするにも無言で無愛想。こちらが気配を感じないことにはいけないのは難儀。一方カンボジアのバスは英語堪能で制服を着用し熱心に説明、水とサンドイッチのサービスありでハッピーな気分。
プノンペンのメコントラベルは日本人スタッフがプノンペンに駐在している。
カンボジアはガソリンが高く、バスはHCM市郊外で思いっきり満タンにしてゆくため、この給油時間が少々かかるのが難点。
ベトナム国境はモクバイ、カンボジアはバベットと言う名。両国間の国境通過ゲートが夫々あって一旦下車、ベトナム出国手続きをとります。降りる際には荷物を持って行き一応の検査を受けますが、空港のような小難しいことはありません。終われば僅かの距離だが再びバスに乗り、カンボジアゲートで降りて入国手続きをします。カンボジアのビザはバスの車内でパスポートとUSドル(会社により違うが30ドル位。確認要)を渡せば乗務員がしてくれるので、自分で行なう必要はありません。この間約1時間と少々(ビザ用の写真は不要)。
国境を越えると直ぐに豪華な白亜の殿堂カジノの建物が出現します。客の殆どは金持ちの外国(VN)人といいますが、金を落とす人にはビザは要りません。

バスは一路西に進みますが、様相がだんだん変化し始め、やがて広大な田甫と木造りの家に移ってゆきます。こういう平坦で地平線が何処までも続くのどかな優しい風景を日本で見ることができませんから、珍しさで結構楽しく飽きる事はありません。この車窓から眺める田舎の原風景はまさに東アジアの原点。
天に抜けるがごとく透き通った青い空。一面の緑の絨毯が吹き抜ける風で波打ち、その中にポツンと建った一軒の茅屋とのコントラストは見事な絵模様です。
道すがら道標がポツンと建ち、カンボジアからHCM市へはプレイノコールと表示されています。元々ベトナム南部はクメール王朝(カンボジア)の領土。今のHCM市はその当時プレイノコール≪緑豊かなカポックの森≫と呼ばれていました。往時のモノクロ写真にはくっきりと鬱蒼とした森が写されている。
大メコン河を渡る橋の上から眼前に広がるのが首都プノンペン。バス会社に拠り到着する場所は全て異なります。宿泊は予約がなくても可能で、高級ホテルからバックパッカー御用達までいくつもあるが、飛び入りよりも事前に迷わないよう何処に泊まるのか考えておくと便利。ホテルなら予約しておく方が安心。バックパッカーは日本人が多くいる安宿、欧米人が主に利用するゲストハウスとほぼ分かれているが、高くても広いだけ。有名な所なら安全・清潔・親切。

プノンペン滞在中は市内名所巡りと観光。前日・当日の朝でもブッキング可能。ベトナムのSINH Cafeが提携するキャピトルツアーなどは料金が安いのですがその分ガイドはつきません。しかし送ってもらうだけで充分。事前に訪問先の知識を入れておけば全く問題ありません。片言アジアン英語が出来ればコミュニケーションは誰でも簡単。ただし集まる人数で料金が変わることがあります。ツアー案内所は至って親切で素朴でした。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生