ベトナムの小売市場での総販売額は昨年1500億ドル規模へ成長しました。
経済発展に拠る消費意欲の増大と共に、毎年10%を超える成長率を堅持し、2020年には1800億ドルに拡大すると統計総局では予測しています。
経済が成長し活性化すれば個人所得が増えてゆく。生活が豊かになって来るに連れてこれまで主流であった伝統的販売から、オシャレな品数が揃っていて、冷房が効いた建物内で楽しく買物が出来る近代的販売手法が近年その割合と人気をますます増やしています。しかし他のアジア圏から見ればベトナムのこの比率はまだ小さく、25%程度に留まっているのが実情で、伸びしろは大きいものがあります。
現在国内にはスーパーが約800カ所、ショッピングセンターは約150カ所存在していますが、伝統的で庶民的な市場は9000、個人商店は220万に及びます。これが2020年までにはスーパーが1200から1500カ所、またショッピングセンターは180になるとの予測を商工省がしています。
近代的販売手法は外資系・国内企業ともに急成長。当初は資本に運営ノウハウがあり、経験が豊富で戦略的にも優位性を持つ外資系企業から、小回りが利く地元企業に勢いが付き、このところは店舗展開を地方へも急速拡大中。地の利を活かして優位に立ち、これには外資系企業は太刀打ちが難しい感があります。
この様な状況の中で海外流通大手は、日本のイオンが2020年までに15億ドルを投資し、20カ所にスーパーを出店する予定。またロッテマートを展開する韓国系のロッテは32億ドルを投資、全国の店舗数を60カ所まで増やす計画を具体化。国内外の各社がどのような独自戦略を打つのか見ものです。
ショッピングモールや大型複合スーパーには若者が好む世界的に有名なファッションから、レストランにファストフード、アミューズメント施設など何でも揃い、観るだけでも愉しくて飽きないのが魅力。涼しい館内では食事しながら長時間家族・友人等と一緒に過ごせる様子は如何にもベトナムらしい。
しかしここ10年ほどの間で、海外から進出した流通企業の撤退や新規参入、地元企業の淘汰にM&Aが繰り替えされました。攻める外資系企業と迎え撃つ国内企業がこれから本格的なガチンコ勝負に入り、シェア獲得競争が激化するという段階になったと考えられ、商業流通新時代を迎えたと捉えています。
コンビニは規模が小さいため品揃えも少ない、配送の回数も少ない様で欠品も多い、従業員の教育や企画力等の問題があります。それでも若い人中心に人気があり、消費構造の変化と共に著しい進化を見せています。
段階的発展をして来なかったベトナム商業流通ですが、コンビニエンスストアとまたEコマースの成長がこのところ顕著に表れています。
筆者:IBPC大阪 ベトナムアドバイザー 木村秀生