プラスチックごみを原材料にリサイクル強化へ

2020年10月8日(木)

日本でレジ袋が有料になって二ヵ月、万引き増加などのモラル欠如が急浮上。しかしスーパーの中には衛生上の問題や、植物性原料を25%以上混ぜた品を採用して継続する所もある。双方に混乱が回避され余計な手間も不要で好評。
良いとは言えないがレジ袋は海洋プラゴミ量の僅か0,3%しかないとの報道もあるし、家庭ゴミだけでは水分量が多く焼却処分には温度が足りない。処理場はペットボトルを再利用せず補助剤として入れ燃やすというから本末転倒。媒体は何処までこの矛盾や実態を捉え報じているのか、あるいは一般人が都合よく操作され踊らされているだけなのか分りません。
昭和の頃、白いエプロンを掛け天然素材の草を編み込んだ買い物籠を手に持って市場に行く。店も新聞紙や木を薄く削いだヘギに入れたもので包んだため、公害など出る筈は殆どなかったのです。
ベトナムでもレジ袋は白い公害と言われ、今や悪役。汚染は深刻な社会問題になり削減に向け本腰を入れて取り組もうとしています。
ベトナムのプラスチック廃棄物汚染は世界でも酷いとされ、2018年国連の調査によると109か国中ワースト17位と評価。国土は南北に長い海岸線があるため、毎年73万トンのプラスチック廃棄物が投棄されていると伝えられ、都市化と人口増加が並行しているため拍車を掛けて急速に悪化していると報道されるほどです。
全国的には毎年12%位プラスチック製品消費量が増え、特にハノイ市、HCM市、ダナン市で急増。例えば、ハノイ市で家庭から出されるゴミの量は1日約6000トン、うち10%がプラスチック。ホーチミン市でも約9000トンのうち20%がプラスチックとあります。
今の所、家庭で廃棄する際の分別徹底やゴミのリサイクルシステムの確立などに課題が多いようで、埋め立て処分場も限界に来ていて待ったなし。
このため市民の意識を高めつつ、プラスチック廃棄物のリサイクル利用を促進すること。またプラスチックの利用そのものを減らし代替品の活用を促進する動きが進行しています。
また日本やヨーロッパなど先進国の再利用システム導入を検討。ハノイ市などは2020年年末までにプラスチック製の包装資材を終了するよう企業に求めているし、HCM市も2021年までにプラスチックゴミ削減をキャンペーンとして展開しています。
ベトナムはプラスチック大国。家庭ゴミに含まれるプラスチックの量もさることながら、飲食店でも机や椅子、食器など大量に使われる。
ここ数年国内プラスチック使用量は前年比18%程の伸びを見せており、成長が著しい産業分野のひとつ。企業数は約2000社、このうち450社は梱包材やパッケージ製造企業。しかし製品は利用後に莫大な量の廃棄物と変わり大きな環境問題になり、海洋ゴミの量が世界3位となる原因になるが誰も無関心。これを止めれば物流コストが20%程度は減少するとの調査が出て、一挙両得という訳で本気にならざるを得ないのです。
プラスチック原料は2018年に数量で559万トン、価格にして91億ドルを輸入しています。前年と比べ数量で12%、価格で20%の上昇。予想では原材料需要は今後、毎年10%近く伸びると見込んでおり、2013年までに1000万トンに達する。しかしベトナム国内で調達できる原材料は260万トンと言われ需要全体の26%に過ぎず、40万トンは輸入に頼らざるを得ないのが実情。
以前は日本や韓国などから廃プラスチック(ゴミ)を大量輸入していましたが、昨年に大きな問題となり完全に停止。其処へ目を付けたのが国内の廃棄プラスチックの活用。これをリサイクル利用すればエネルギー効率がよいうえ、石油など枯渇資源の節約にも繋がる。またゴミだらけの景観や自然環境破壊などの社会問題も解決できると期待が高まっています。
このため政府は企業にプラスチック材を含めた廃棄物や産業ゴミなどの回収を促し、再利用にむけた機器や技術の導入費用に優遇施策を採用。プラスチックゴミのリサイクル実現により、原材料を海外輸入に依存する体質が改善され、国内企業の原材料需要の50%を賄うことができるようになるという。しかし実現にはゴミが発生する家庭や事業所などで丁寧な分別が不可欠なのです。
また地方自治体は、廃棄物収集や処理に必要なインフラへの投資と開発を加速するため、政府と業界が投資促進政策を実施する必要に迫られます。
ベトナム環境保護基金は、プラスチックの再生利用に積極的な企業を対象に、プロジェクトに必要な資金の最大70%まで、利率を2,6~3,6%に抑える優遇措置を始めた。プラスチックのリサイクルと再利用、さらには生分解性のプラスチックの活用など、環境に優しい新技術や課題解決事業は、今後、注目の高まる分野となりそうです。
ベトナム国会では、プラスチックの使用者、販売業者、廃棄物収集者の責任と、その輸送や処理方法などを定めた環境保護法改正案の審議が進んでいます。 環境保護法改正案には、廃棄物の排出業者、収集業者、輸送業者、処理業者、さらに地方自治体の責任を明確化。もっとも基本である消費者の習慣、思考を変えるため必要だが、何時もの様に仏作って魂入れずでは意味をなさない。
大手流通業や飲食企業では世界に先駆けプラスシチック製品使用を中止。概ね消費者からは好意的に支持されています。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生