トランプ氏大統領就任でベトナムの輸入はどうなるか

2025年2月19日(水)

気になるのが普通の感覚と思うけれど、トランプ氏が大統領就任後、ベトナムの位置付けはどうなるのかだが、日本ほどやたら騒いでいる様子はなさそう。
前回のコラムで貿易は完全にベトナム側の輸出超過であり、大黒字の源泉こそアメリカが大消費国ゆえのお陰。また近年は通貨が比較的安定しているけれど、かつては頻繁に切り下げて輸出の減を政治的に押さえて来たため。この結果、為替に関し監視国とされてきた経緯を述べたがこれには目を瞑ってダンマリ。
こうした事情を弁えつつ、だがベトナムの経済専門家はベトナム製品が特別な関税を掛けられる対象となる可能性は低いと見ています。だが貿易赤字に絡んでのセーフガードの調査対象になるリスクは高くなっていると考える。

1月20日にトランプ氏がアメリカ大統領に就任後、ベトナムにとって最重要である貿易黒字国の立場はどうなるか戦々恐々だが、予測は難しいとしている。
これは彼が主要貿易相手国に対して、自国が赤字であることに強く懸念を持っているが、取り分け巨額になればなるほど黙ってはいない筈。すでにベトナムと緊密な関係にあり、多くの原材料に資源を頼っている中国、移民政策で強硬姿勢のメキシコ、貿易不均衡であるとするカナダの情勢にも注視している。
ベトナムは今の所これ等の国とは違い、関税に関してトランプ大統領が関税を引き上げることはないであろうと一部で楽観的と報じています。だがそれでも絶対的赤字額が中国、メキシコに次いで大きいという事実について注意を払っておく必要ありとしているが、危機的な意識はなさそうな気配。

国内コンサルタント会社はアメリカの新たな政策と投資に関して、関税のシナリオについて、アメリカ向け輸出への影響はある可能性があるとしたうえで、だが輸出そのものの成長性はある。むしろ中国などへの増税が原因で、輸出が減少することを想定するなら輸出は増えるチャンスかもしれないとノー天気。即ちベトナムへの新たな関税措置は低く、影響はないけれど予測不能としつつ、中国への関税強化は可能性が高いとして、これはベトナムにとってメリットとしているのは単なる期待感。危機感が殆ど無い甘えた思考とも思えなくない。
万一今年中国製品に60%の関税引き上げを実施し、他の国の輸入品に対して10~20%の引き上げを行なうのなら、ベトナムの2025年度アメリカへの輸出は8%増加すると地場証券会社が予測している。また中国だけに高関税をかけるのなら、さらにベトナムはメリットを享受できる。だがベトナム製品に個別に追加関税を求められるとすれば、予測した8%を下回るけれど増加の傾向は変わらないと強気。どこから試算してきたのか不明で何とも言えない。
地場証券会社のマクロ経済・市場戦略部門の担当も、この会社が発表した分析の結果、ベトナムに対する間税引き上げは回避できる可能性があるとしている。
だがアメリカの拡大する巨額貿易赤字がセーフガード調査の対象にされる危険性は免れなのは一方であるとしています。
アメリカの大学で教鞭をとるベトナム人は、ベトナムとの二国間交渉を重視し同盟関係を構築する基本姿勢は変わらないとするが、果たしてそもそもの同盟関係が現政権で成立するのかは甚だ疑問でしかありません。
だが彼の言に拠ればベトナム製品の輸入による巨額赤字に関し、これが原因で関税引き上げが実施されるのかは不透明としつつ、慎重な見方をしています。
これらを避けるためにベトナムとしては、アメリカへの投資を促進する政策を打ち出す必要があるとしているが、近隣アジアの国へ地場企業の投資は増えているけれど何を以って投資をするのか。極めて困難な状況にあるのは否めない。ビンファストがアメリカでEV車を販売するために、現地で工場を建設するのもひとつの方法だが、これ位の投資は雀のナミダ、桁が断然違い過ぎている。
またベトナムが中国製品の経由地になるのは避けたいとする。二次輸出を行なおうとすれば、例えばラベル張り替えるなどですり抜け様ものなら、それこそ怒りを買うだけで報復は免れない。
また米ドルとの為替レートに関し、トランプ氏はビジネスマンの感性から関心を持っている。冒頭にあるベトナムの為替監視国とされている点に注意を払わなければ信用を無くすことになるが、総合的に判断すれば何も見えていません。

アメリカへの輸出に関してベトナム食糧品産業協会は、注意しなければならないのは原材料の原産地を供給源の透明性としている。食の安全性と品質の確保、が重要。課題は様々あるが、トランプ氏の政策はアメリカ経済の強靭化を意味するため投資と消費への刺激。これはベトナムにとっても需要で、輸出が増えることになると相当楽観的な見方だが均衡を忘れている。
だがそう簡単に事が運ぶのだろうかと言えば、可能性があるとお茶を濁すだけで確たるものが無く、極めて感覚的。論理的な思考に欠けています。
こうしたベトナム側の考えもあるが、アメリカ・ベトナム ビジネス商工会のモーガン会長からすれば、ベトナムは確実に新政権の新しい貿易政策の影響を受けると断言している。しかしアメリカ人で両国のビジネスに詳しいこの人物でさえその新たな貿易政策がどのようなものなのか、現時点で全く把握できていないという程で、実施をみなければわからないのが悩みの種。
例えそうであったとしてもベトナムがアメリカ市場でビジネスを継続するためには、即ち輸出を安定的に続けるためには事前に様々な選択肢を準備しつつ、シミュレートしておくことが肝心とアドバイスをしているとあります。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生