相変わらず客室乗務員の密輸が続いている

2026年7月10日(金)

これまで何度この内容の記事をみたことか。だが全く懲りもせずに続いている。
もう20年以上前だがベトナムで携帯電話が流行り出した。当時の価格は安くても100ドル、ノキア、モトローラ、ソニー、パナソニック、シーメンスがズラーと棚に並んでいて、販売店も急速に増えだした頃です。
この当時の価格、普通の人は高くて買えない。大卒でも100ドル≒150万VNDは無かった。従がってプレゼントすれば、大喜びなのだが相手は曲者、同じ製品をオネダリして余分なモノは売ってお金にした。外国人が行くような若い女性の多い飲食店で繰り広げられた光景です。
この頃に販売店で箱なし商品が少し安く売られていたけれどハンドキャリー品。即ち特権を利用して航空会社の乗務員が香港とか近隣アジアへ搭乗した際に、幾つかを彼方此方に忍ばせて帰国。空港はこの時期フリーパスなので検査をしない。だから小遣い稼ぎで多くの人は捕まり、遂に持ち物検査が厳しくなり、税関がケースやバックの中身までチェックを実施したことがあります。
いくら外国語が話せても給料は安い。一応はエリートになるのだが、他の外国フラッグに比べるとあほらしくて話にならない、例えば知人の娘でアシアナのベトナム人CAは1000ドルあって、親よりもはるかに高かったけれども、外国人CAにすればかなり安かったが、それでもベトナム人からすれば高給取りに属した。因みに容姿端麗で頭脳明晰の美人、空港職員だがスカウトされた。
それなら、と立場を利用してこういうハンドキャリーでと思うのは人の気持ち。犯罪と認識せずに続いたけれど、今回は知らずに運ばされたとの記事があった。歴史は繰り返すけれど、もしかして代替わりで過去の教訓が生かされなかったのか、本当に知らなかったのかだが、他国であればこれでは通らない。場合によっては死刑にもなるほどの犯罪行為なので預かり荷物は慎重に。

・若者の薬物使用者が増加

これは日本でも問題なのだが、この国も急速に薬物に手を出し染まってしまう若者が急増していると警察が公表したと現地報にあります。
この半数が事もあろうに13~30歳とあり、昨年10月時点の調査に拠れば国内で違法薬物の使用、依存、またリハビリ後の管理下にある人の総数は23万人に達している。このうち44,6%が12歳から30歳、それ以上が55,4%を占めている程。このため保健省は薬物削減のオンライン会議を開催した。
薬物使用は今に始まった訳ではありません。HCM市一区のほぼ中心、ニュー・ワールド・ホテルの南側は公園になっているが、以前には鉄板で囲われた地域、この中で売買が行われた危険な地域だった。注射器などが散乱していたのです。
経済成長が続く、そうすると格差が自然と出て来ます。薬物常習者の大多数、すなわち60%程は失業中か不安定な仕事に就いているとされるが、世の中がだんだん高度に発展してくると手に技がないとか、事務職でも何らかの特別な技能技術が無くては振り落とされる。また高学歴化社会に変化しているけれど、学業成績が良くても人としての格が無いとか、何らかの専門性が無ければ企業に居られなくなる。ベトナム地場企業も大きくなりこれまで適当に仕事をしていても良かったけれど、社会が発展進化、グローバル化してくればこれに対応できないと企業は経済活動を維持できなくなる。
こうして社会や経済発展に取り残される人が増えているのは、薬物に依存してしまうからで精神的に弱い人が落ち入る傾向にあります。さらに学生でも簡単に手に入るし、考えずに勧められるままにすっかり依存体質になってしまったなんてことはベトナムだけではありません。ベトナム人が介在して食品の中身に薬物を潜り込ませて日本へ輸入しようとするが、そう甘くはなく多くは摘発されているのです。

薬物は天然物だけでなく合成されて安価にできるとある。分子構造を一箇所変えるだけで日本では取り締まりが出来ず、イタチごっこが続いているほど。
ベトナムでは個人がホテルや高級リゾート、アパートで麻薬パーティーを開催するケースがあって、これは摘発逃れで問題が悪化しているという。しかも気が付かないうちに、食品や飲料、廃部、電子タバコに仕込まれ偽装された薬物が急増し蔓延している。これは特に10代の若者の間で顕著になっている由々しき事態が現実なのです。
2022年以降、当局は67,000件以上の薬物事件を発見摘発し、10万人以上の容疑者を拘束、逮捕したと報じています。その押収量はヘロインが1,5トン、大麻1,7トン、合成薬物は何と7,8トンと700万錠を越えたとあり、地域社会に於ける薬物使用者や依存者も10万人を超えるので問題は大きい。
だがこれが窃盗、強盗や傷害等の事件に繋がりリスクとなると当局はみている。
さらに深く浸透し、今では政府関係者、公務員、有名人、プロアスリートからも違法薬物に関与する人物が居ると報告されています。
HCM市でスペイン人のモデルが警察に逮捕された事件は大きく報じられたが、彼はベトナム人の歌手と共に組織化された違法薬物の所持とフランスから密輸を行っていたという。
公安は薬物使用者と依存者の特定を進め、薬物のスポットの解体、また取引に関与した容疑者の取り締まりを計画。さらに啓発キャンペーンを学生、労働者規制対象企業を対象に行うとし、麻薬組織壊滅にも注力する。司法当局はこの問題に対してより厳しい罰則の規定を執行する様に指示したのです。

・麻薬王が逮捕 客室乗務員も密輸で逮捕された

4月初旬、ベトナムで最も力あり広大な密輸ネットワーク持っていた麻薬王が、4人のベトナム航空の客室乗務員を使い、歯磨き粉のチューブに隠した麻薬をフランスから密輸させた。新聞記事に当局はハ・ダン・ナムというボスを指名手配し捜索しているとある。また添付写真に大量の歯磨き粉が載せられており、何でこんなに運べるの?常識を超えた数量なのだが、乗務員は疑問を何故抱かなかったのか不思議です。
3月16日フランス発ベトナム行きベトナム航空がタンソンニャット国際空港に到着。税関職員がこのVN10便の乗務員の荷物に疑問を抱き11キロ以上の荷物を検査した所、何と歯磨き粉のチューブに入った違法薬物を発見したとあります。その日にナムは子飼いの運転手タンに連絡し、荷物が届いたことを確認して金の支払をしたのだが、すでに逮捕された乗務員が居ることを知ってSIMカードを廃棄する様に指示したという。ボスのナムはこのタンを使って国内に流通させていたのです。
起訴状には違法薬物の輸送、取引、隠ぺい工作等が含まれているが、捜査機関は海外に住むナムは、幾つかの偽名で今回の歯磨き粉のチューブ、コーヒー、ココア、チョコレート、洗剤、シャンプーなど様々な製品の中に麻薬を入れ、検査を逃れていたことを発見した。今回の様に事情を知らないフランスに住むベトナム人にも運ばせていたとか、国際郵便で送ったとあります。これをタムと義理の弟のアインが回収、買い手に渡していたのが常套のやり方とある。
Tと書かれたモノが薬物入り。これを選別してアンはHCM市内のアパートに届けていたことが分った。支払いはタムから、タンの息子の口座に入金するという念の入った手口。
警察は捜査の末に、3月21日にタン、22日にアインを逮捕したとある。

ベトナム航空の4人の客室乗務員は恐らく親切心からか、彼らの麻薬密輸に関しては、フランス在住のベトナム人コミュニティで荷物の集荷と配達を仕事にしているクアンをナムが利用しただけ。実際に4人は中身な何なのかを知らず、容疑者との接触や金銭の授受などはなく、このクアンに頼まれたという次第。
これでは犯罪を立証できないので、知らない間に運び屋に仕立てられた訳です。
頼まれて断れないこともあるけれど、日本でも帰国時には税関で必ず聞かれるのが、預かり物はありませんか?しかし余りにも人の良い日本人は、現地の人から日本在住の人に渡して欲しいと云われ、何かしらの土産を渡されると断れない人種。今回も何らかの事情があってのこと。上からの頼まれごとか、現地で世話になった人からの依頼なのか。何れにしても断り切れない雰囲気があったと理解できなくない。ベトナムだから疑われて済んでよかっただけのお話。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生