現地報にインスタンントラーメンの発祥地はどの国ですか?というタイトルで、5つの質問形式のクイズが掲載されていた。どの国で発明された?と5か国を挙げていた。発明者の名前には日本人の実業家を5名、何時創業したか?では幾つかの年を挙げており、発明に理由は何か、最後に世界で最もインスタントラーメンを食する国は何処?とありました。回答はなかったけれど日本人なら殆どの人は正しく答えられるでしょう。だがベトナム人にすれば良く判らないのが本音というところ。
初めてこの国で発売したインスタントラーメンはエースコック、実はベトナム企業だと思っている人はかなり多い。エースコックがシェアを伸ばす中、地場企業も並行して発展していった。価格は安くて徐々に進化していることが分ります。最も有名になったメーカーとは今を時めく小売り大流通企業に成長したマサンではないでしょうか。
先ほど世界ラーメン協会が発表した2025年度世界のインスタントラーメン需要でベトナムは82億3000万食とか。前年比では1,2%の微増。これは世界4位とあるけれど人口が1億を少し超えた国にしては多いと考えます。
因みに国・地域別での順位は、1位が中国と香港だが、桁違いの約433万食、2位はインドネシアの約145食、3位がインドで約96億食、次に来るのがベトナムなのだが、一人当たりの消費数は世界一とされる。発明した安藤百福氏の我が日本は5位約60万食という結果だが、上位3か国は人口からすれば当たり前だし、この先もアジアで需要が増えて行くことに違いありません。
ベトナムのインスタントラーメン需要の変遷は、2012年に一度4位になったが、この時の年間消費量は50億食強、2017年に5位に落ちたが50億6000万食と2012年と同量。その後、2020年に70億3000万食と増え、世界3位になったのが最高で、爾後は毎年80億食を越えて来た。
理由は多くのベトナム企業の市場参入したこと、ベトナムならではの味付けであり、国民食とされるPHOが販売されたことも挙げられるのかもしれない。さらに人口が急増し、インスタント麺が生活に根付いたことも重なった、また小売市場の変化、即ちスーパーやショッピングモールが地方にも進出、何処でも買えるようになったことが背景にあるのではと考えます。
地場企業はインスタントPHOに鶏・牛肉入りの液体スープを別袋にし、また海老味に辛みを加えた製品まである。PHOは米粉を使うけれど、ジャガイモ澱粉を麺に加工した商品もあるが、これらはベトナム人の口によく合うもの。
さらに安価な袋入り麺から手軽なカップ入り麺も販売されており、消費者の嗜好に応じて手軽に味わえるよう多品種の製品を各社が考案したと考える。
・PHO(フォー)は単なる麵ではなくベトナムの食遺産
現地の新聞記事に、ハノイ市がユネスコの世界遺産登録に向けて作成した資料とか文化産業の発展に力を入れる中、ベトナムの国民食の一つであるPHOはもはや単なる麺料理という食文化の範疇だけでなく、様々な角度から美術価値、デザインや写真、出版、メディア、土産物などの創造的分野でインスピレーションの源泉になっているとしたが、考え過ぎでは?
具体的な一歩として、ハノイ市文化スポーツ局は、他市と連携しハノイの無形文化遺産であるPHOについてクリエイティブ・コンテストを開催する意向があると報じている。たかが麺、されど麺、であるがPHOの世界認知度を高め、普及を目指す方針であると意気揚々。
日本人はPHOがベトナムのうどんの様なもの、という認識だが、北の地方の食べ物。牛骨からつくる淡白なスープに米で作った麺を投入する。具は牛肉や鶏肉にネギとシンプル。南部は香草をたっぷり入れ、チャンというベトナムの柑橘類を絞ってスープに入れるのが一般的、これ無くては味が締まらない。
他にも様々な具があって楽しい。モヤシを入れる店もあるが茹でないのが基本。
因みに中部のフエのブン・ボー・フエ、南部のHCM市など本来一般的であるフー・ティウがあり、太めの平麺で多くの具が特長。特に焼きフー・ティウは大阪の焼うどんの様で美味しい。さらに中部のホイアンではカウ・ラウという麺を汁に付ける料理、これは伊勢うどんのルーツとかと云われる。かつて朱印船が日本とホイアンを結んで貿易を行った。この際に伝わってのではという。またダナンでミー・(ク)ワンは小麦の麺。味も麺の太さなど地方によって違うけれど何れも美味である。
この趣旨は若い人にPHOの伝統的な食べ物であることを認識、身近なものにするため、新たな方法で制作を行い、またクリエイティブ経済の育成と首都のイメージ向上、観光促進にアプローチするための促進策として美しい作品にしてもらいたいとの意向があるとしている。
これに関して政府はハノイ市の考えに賛同。緊急の要件として文化産業発展法を制度化する草案を作ったとある。
一杯のPHO。で無く、料理のエッセンスと大切な思い出が詰まったベトナム料理として、世界の食文化のシンボルにするため若い人の創造力で伝統を保存にしたいという思惑があるのです。
PHOは世界的に有名になり人気を集めているという。これらの催しは単なる売り上げをあげるものではなく、伝統の味を守り、文化的価値を保護し、その起源に関する誤解を避けることが重要で、知識や経験、専門家のアドバイス、習慣に味付けの技術の、何世代にも渡り受け継がれて来た食文化の集大成。
・世界のベストストリートフーズ都市 HCM市1位、ハノイ7位
筆者は食べ歩きという行為、またこの言葉は好きではない。京都など世界的に有名な観光地で地元住民が困っているのは観光客のマナーの悪さ。日本人なら誰もがゴミは持ち帰る事を教えられてきた。これは子供の頃から躾として自然と身についている。また学校の終業時に児童生徒が当番制で掃除をするけれど教育の一環だが、サボル奴は居なかった。
だが多くの外国人観光客はこれが出来ない。ゴミ箱が整備されていないからと宣うのだが公徳心が無いだけ。その国にはその国の決りがあり、如何なる場合でも遵守しなければいけない。京都の錦など、人ゴミ、いや混み。
出来なければ民度が低いという問題ではない。その国の教育レベル、マナーが悪いというレッテルを貼られるだけでなく、全ての同郷人がそうした民族だと思われてしまう。即ち日本人が最も嫌がる恥の文化と他人に迷惑をかける行為なのだが通用しない、教えても出来ない国、救いようのない人も多い。
だが世界的にはこの食べ歩きが社会的に認められるという風に理解してもよく、いわんや文化として評価されるような記事が掲載されていた。
イギリスのタイムアウト誌には、2026年度の世界ベストストリートフーズ都市にベトナムHCM市がなんと世界1位になったと報じており、ハノイ市は同7位に選出されたとあります。
HCM市ではオレンジ色の服を着た清掃員が道路を掃き清めている。砂塵が舞うので珍しくなった散水車も登場して綺麗にしている。これは良いことだが、レストランではベトナム人客はテーブルの下にゴミなどを平気で捨てている。これは掃除をする人がいて彼らの仕事を作っていると嘯くのだから始末が悪い。その言い草が、綺麗であれば彼らは仕事にありつけないとドヤ顔。
さてこのランキングは世界各国の都市住民24,000人を対象にした調査で地元の飲食店、ストリートフーズの価格に品質を評価したとあります。
ということは、外国人観光客の評価ではなく地元住民という訳で、HCM市は63%、ハノイ市は57%が支持したというけど自画自賛で大した意味はない。
今やベトナムは観光の国、政府は積極的に海外観光客を招き入れようとして、ビザ免除や延長を行っている。民間の不動産企業もリゾート開発にこぞって躍起になっており、ブームです。
人気があるベトナム料理、海外では野菜が多くてヘルシーだとか、海産物と肉のバランスが取れている。あるいは母国で巡り合えない美味しい料理も味わえるが、これら多くは中国に色濃く影響されており、かつての宗主国フランスの影響が色濃く残りアレンジされたものも多い。
HCM市にはミシュランの星を獲得したレストランが6軒あり、また街中至る所にあるコムビンザン、さらに路地裏のヘムにある洒落たCAFÉとか、旅行者の溜まり場にあるPHO屋、郊外のヤギ肉店や貝類だけの店、キノコ鍋に蟹の店などベトナム料理の店は語るに尽きないほど沢山あるのは魅力です。
さらにフエの王宮料理など、地方から出稼ぎに来てそのまま居残って料理店を開いて盛況。故郷の味が楽しめる店も山ほどあるが、これはそれだけ地方の人が多いから。ガイドブックに載らないこうしたお店はお勧めです。
もっとも道路脇の店舗などプラスチック製のイスに腰を掛けベトナムコーヒーや生しぼりのジュースを味わえるが、暑い日差しの中、大変うれしい存在。
また露店のバインミーは殊のほか旨くて安い。
この様な気軽に誰もが簡単に買えてリーズナブル、夫々の店の味が楽しめるのがストリートフーズの良い所かも知れない。
またハノイ市では、もちろんPHO、ステーキも有名でこれなど気軽に昼間から味わうことが出来る。さらにもう一つのハノイの麺であるブン・チャーは、少々甘酸っぱいけれど、これがハノイを代表するグルメだと選ばれたとある。
さらにHCM市の旧4区、ヴィンカン通りを世界で最もクールなストリートの10位に選んだけれど、我々にすればあの4区?と思わずにいられない。
筆者はバイクで自宅から1区までこの4区を通り抜けたが、かつて川向こうの発展しない処だった。道路沿いに焼き芋を売る屋台があって、おばちゃんが売っていたけれど芋は細くて甘くもなかった。という記憶がある。
ハノイ市では旧ホアンキエム区、ハンチョン通りのPHOが良いという。
この調査は自己評価。アジアには多種多彩の料理があるが、中国、地域で特色がある日本料理に韓国が抜けている。中国は国土が広くて気候も自然も異なるのでそれこそ満載、満韓全席もある。日本なら大阪は粉モン文化、お好み焼きにタコ焼き、ミクスジュース、東京はもんじゃ、メロンパン、名古屋はひつまぶしに味噌カツ、福岡なら屋台などのB級グルメが満載。世界遺産の日本料理は外国人が飽きない、食べきれないほど多いし、韓国ならチジミにプルコギと多士済々。抜けているのが不思議?
今年、世界のベスト・ストリートフーズ都市トップ10は、2位にクアラルンプール、3位ジャカルタ、4位台北、5位はマニラとメキシコシティとあるがアジアの国が強いようです。
だが自分が美味しいと思う料理なら、それが一番ではないでしょうか。母の味こそ一番は世界共通か。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生