あまりなじみがないけれど、ポテンシャルを秘めた国ラオス

2019年12月5日(木)

ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国の5か国と国境を接し、東南アジアで唯一の、海に面しない国、ラオス。日本の本州とほぼ同じ面積の国土に、人口が700万人程度と、ASEANの中では小国といえます。

ラオスの実質GDP成長率は、ここ10年間、7%前後で推移しています。そして、2018年の1人当たりのGDPは約2,600米ドルであり、ベトナムよりも高くなっています。また、世界銀行は、東アジア太平洋地域において今日最も経済成長の早い国の1つとして、ラオスを認識しています。

東南アジアの物流ハブとして期待

ラオスへは従来、低廉な人件費や電気代を求めて、近隣国の中国やタイから「チャイナプラスワン」「タイプラスワン」として製造業の生産移管での進出が多くありました。

最近では、5か国と国境を隣接することから、これら近隣諸国をつなぐ「メコン地域の物流ハブ」としてラオスは期待されています。例えば、中国(雲南省昆明)からラオス、ミャンマーを経由してタイへとインドシナ半島を縦断する「南北経済回廊」や、インドシナ半島中部のメコン地域を横断する「東西経済回廊」はいずれも、ラオスを陸路物流の通過地点としています。

日系企業の進出は増加傾向

首都ビエンチャンの日本人商工会議所の会員数は、2013年の56社から、2019年1月には100社の大台を突破し、着実に増加しています。また、同国への進出日系企業は、2011年は63社でしたが、2019年6月の時点で156社となり、徐々に増えています。

日系企業による近年の投資動向を見ると、リスク分散やコスト削減のため、生産工程の一部をタイからラオスへ移す動きが進んでいます。

発展途上のラオスでは、特に日系メーカーの進出先は、投資誘致のためにインフラが整備され、税制などの優遇措置も設けられた特別経済区(SEZ)が中心です。

日系企業が進出しているSEZは、ビエンチャンのビタパークSEZ(面積110 ha、9社の日系企業が操業)、中部サワナケートのサワンセノSEZ(同954 ha、10社の日系企業が操業)、そして、南部パクセーのパクセージャパン日系中小企業専用SEZ(同195 ha、11社の日系企業が入居。2018年5月レンタル工場完成)の3か所があります。

ラオスは、国際的な取引に対応できるような、インフラ整備、法整備や施策などを着実に講じています。今後、日系企業にとって、新たな市場開拓の場としての魅力的な国となるポテンシャルを秘めていると考えられます。