ASEANの物流を側面から支える日系企業

2019年11月20日(水)

日本国内のマーケットが頭打ち傾向にある日系物流企業は、ASEAN域内の輸送・配送ニーズを取り込もうと、物流ネットワークの拡大やサービスの強化を急いでいます。

それと同時に、物流企業とは違い物流での中心的存在とはいえない企業も、ASEAN域内で物流に関連して発生するニーズに合わせて事業を展開し、ASEANの物流をわきの方面から支えています。

物流センターを専ら設計、建設

近年、日系物流企業のASEANへの進出や現地拠点の強化により、現地での物流施設の新設が続いています。

建設・不動産のサービス会社であるフクダ・アンド・パートナーズは、2014年にミャンマーへ進出。最近では、日系物流企業2社から依頼を受け、ティラワSEZ内にそれぞれの大型物流施設を建設しました。

同社は、物流センターなどの物流施設の設計・建設に強みがあり、日本国内事業の約9割が物流施設づくり。土地探しから設計、工事監修、プロパティマネジメント(※)まで、ワンストップでサービスを提供するのが特徴です。

2018年6月、ティラワSEZ内に完成した両備ホールディングスの4温度帯の物流倉庫では、同社は、基本計画、基本設計、設計・施工者選定、設計・工事監修を担当。冷凍・冷蔵倉庫を含む大規模な施設のため、同社が誇る技術力・知識を結集させて結露防止を重点的に確認しました。

※不動産所有者に代わって不動産の運営・管理を行い、その収益性を高めるマネジメント業務をいいます。

輸送時の家電へのダメージを測定する試験機を生産

ASEAN地域では、加盟各国の経済発展に伴い、冷蔵庫などの家電製品の需要が伸びています。今後も、マレーシアやタイなどを中心に、堅調な成長が見込まれます。このため、家電などについては、日本や中国、欧米への輸出に加え、ASEAN域内での輸送需要の急増が予想されています。

一方で、輸送時の衝撃などにより製品が破損するケースが多くあり、それを防ぐためには、衝撃などに対する製品の影響を調べる必要がありました。

こうしたことから、包装した家電などの貨物へのダメージ度合いを測定可能な衝撃試験機の需要が伸びると判断した神栄テストマシナリー(茨城県つくば市)は、2018年7月から、マレーシア・ジョホール州にある関係会社の工場で試験機の生産を開始しました。

同社は、スマートフォン向けの試験機では世界8割のシェアを握りますが、包装貨物向けはまだ1割程度。マレーシアでの生産をきっかけとして現地のニーズに沿った試験機を供給することで、数年内に世界シェアを3~4割まで増やすことを目指しています。