ベトナムの情報通信事情(3) ~ベトナム国内のデータセンター~

2019年12月22日(日)

「海底ケーブルの障害時は(回線が遅すぎて)仕事にならないから、ベトナム国内にサーバーを置くことを検討しよう…」。本稿では、ベトナム国内のデータセンター・サーバーについて、事情を掘り下げてみたいと思います。

ここ数年で都市部の停電はかなり頻度が低くなりました。そのため、事務所内にサーバー等を設置しても構わないのですが、埃や温湿度などを考えると、データセンターを利用した方がサーバーには優しい環境となります。

通信会社のデータセンターは、ハノイとホーチミンシティ、またはその郊外に集中しています。これは、国内バックボーンの接続ポイント(IX)があることに起因します。
現地ローカル系では、VNPT、FPT、Viettel、CMC、QTSCなどが、
日系の合弁では、Telehouse (FPTとKDDI)、Global Data Service(VNPTとNTTCom)などが、それぞれデータセンターサービスを提供しています。

筆者の感想になりますが、これらの現地サービスを利用する場合のネックになるポイントは、「言語」と「説明」でしょうか。「言語」は文字通り、英語がほとんど通じません。入館の事前申請や入館時、作業時、機器の搬出入時など、ベトナム語でのやりとりが必要となる場合があります。もう一つの「説明」は、データセンター側(特に回線関連)で何らかの障害があった場合に問い合わせても、「障害があった」「もう直った」のみの説明で、発生理由や対処、対策などの説明が、日本国内での同サービスと比べ、明らかに不足しています。「使えるようになったのだから、いいだろう」という考えが前提にあるようで、「理由は何だったのか?」と尋ねても、当を得る回答は来ないでしょう。

これらのデータセンターを利用した、ハードウェアのマネジメントを気にしなくてもいいサービスとして、ホスティングやクラウドがあります。ローカルや合弁、日系などがサービスを提供しており、ここでのポイントも、やはり「言語」と「説明」になるでしょう。英語が通じる、またはSLA(サービス品質保証)がある、AWS(Amazon)やAzure(Microsoft)などが選択肢に上がるかもしれません。

2018年6月、サイバーセキュリティ法(24/2018/QH14)が国会を通過し、2019年1月1日より施行されました。この法令に準拠するためには、ベトナム国内に支店または事務所を設置し、ベトナムでの利用者の情報を保証し、国内にデータを保存しなければなりません。意外に知られていないこの法令について、次稿では、掘り下げてみたいと思います。

Chiroro-Net Viet Co., Ltd. / CEO 安藤 究真
2000年にサーバーホスティングを提供する(株)チロロネットを岡山県で設立。
2015年にはベトナム現地法人を設立、2017年12月よりベトナム国内においてもホスティングサービスの提供を開始。ホーチミン日本商工会議所(JCCH)・IT部会会員。