各コンビニの全国的展開とショッピングセンター

2023年1月19日(木)

1位はWinMart+で全国3000店舗。元々はVinグループ傘下のVincommerceの運営であったが、Vin社が自動車生産に注力するために資本を再編成したい、このため売却した次第。だが本音は経営状態が良い訳でないのを分かっていて手放したかった他ならないとみる。
実は数字を上げたいばかりで、採算度外視で産めよ、増やせと成り振り構わず店舗開発をし続けたツケが回ったのです。
購入したMassan社は即席ラーメン製造など食品の大手。ところが蓋を開ければ赤字店舗がワンサカ。不採算店を整理して全国的にほぼ均等に配置しました。
2位はBachHoaXanhでHCM市と地方で約188店舗。この会社はかつて携帯電話で一世風靡したTheGioiDiDongが親会社。商品戦略やプロモーションに長けていて出店戦略はお手の物。
3位SATRAFOODS、市の関連企業でありHCM市に182店舗。
ファミリーマートはHCM市が主で一部地方店、5位に沈殿。一時賑わいを見せた7Elevenなど8位、あれほど華々しく開店テープを切ったのに予想よりも振るわないまま。このままだとベトナムで浮かび上がらない。

また資料ではHCM市が圧倒的に多く、2000店舗へ少し足りない程度だが、ハノイでは800店舗、その他地方が約4800店舗。まだ伸びる余地はあると言えるが、HCM市での店舗数は少々多いかなと感じます。
現時点では南部地域にほぼ集中する形で展開しているが、ハノイ市と地方攻略をどのようにして行くのかが鍵になるかも知れない。反対に数の少ない所では商品供給などコスト面で不利があり、自然消滅するか、合併する可能性があるやもと考えます。要するにまだ過渡期でしかなく各社のブランドですら完全には全国に浸透していない。どころかこのままではWinMart+の独り勝ちになってしまうことだって考えられます。

だが問題が無い訳ではありません。確かにHCM市では集客力が高いのは確かだが、競争が激しいうえ賃料がとんでもなく高い。店舗数の多寡だけが勝利の方程式ではなく、いくら何でも赤字続きではいられない。また殆どの店舗では備蓄できるスペースが無く頻繁に補充が必要。このためよく用いられる手法であるドミナント戦略を有効かつ効果的に使い、商品開発や企画力をフルに回し、コストを如何に減じるかは各社腕の見せ所。また現場での販売やスタッフ管理はスーパーバイザーの役割。さらにベトナムならではだが、店の外に駐輪するバイク・自転車盗難が頻繁に起きるため、警備員を必ず置かなければ危険です。

・ベトナムのショッピングセンター

これも商工省が規定していますが、即ち販売店舗とサービス施設を持つ近代的で機能性が高い商業施設とある。また巨額資金が必要とさえる事業領域であり、技術設備、経営管理、組織管理面で事業を遂行できるだけの資格基準を満たすことが出来、また顧客ニーズを満たすため現代的で簡便なサービスを提供することが求められる。となっています。分り切ったことをことさらに理屈っぽく定義する所が如何にもベトナムらしいやり方。
そのうえで事業面積が50000㎡・30000㎡・10000㎡以上を3級~1級に分けています。

所詮これ以上の詳しい区分けは無いので7区にあったパークソン、1区のダイアモンドの様に、一般市民にとってデパートという認識でしかない小売り施設でもこのショッピングセンターの範疇にあると言われており、こうした施設は実に国内150店舗ほどあると推測されています。地方は地場企業に依るものだが、HCM市内の大型SC施設は韓国、マレーシア企業が運営しています。
また広い敷地を必要とする施設で全国展開をしているのはVincomだけ。
HCM市内・7区PMH地区のクレセントモールはいち早く完成したが、場所柄外国人顧客や高級外国製品を扱う店も多いのが特徴。
しかしわずか1店舗のみで、HCM市内はおろか全国展開すら考えていないと思うわれるショッピングセンターもあるが、この理由は分りません。

・ランキング 国内全110店の状況

Vincom HCM市内13 ハノイ市12 その他58施設 計83
ロッテマート 同上 5 同上 2 同上 8 計15
イオン 同上 2 同上 2 同上 2 計 5
その他全て1店舗のみ(高島屋含む)              計 7

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生