ベトナムの情報通信事情(2) ~インターネットインフラ~

2019年11月15日(金)

「今日はインターネット、遅くない?」ベトナムに住んでいて、時々発するのがこの言葉。本稿では、インターネットのインフラについて、事情を掘り下げてみたいと思います。

ベトナムで約6,400万人が接続しているインターネットは、陸路ケーブルと海底ケーブルで支えられています。陸路ケーブルは、隣接している中国、ラオス、カンボジアと接続されています。また、海底ケーブルは現在、
・SEA-ME-WE 3
・TGN-IA (Intra Asia)
・AAG (Asia America Gateway)
・APG (Asia Pacific Gateway)
・AAE-1 (Asia Africa Euro 1)
の5本が、中部のダナン/DaNang または 南部のブンタウ/VungTauで接続されています。
2021年には6本目となるSJC2が、南中部のクイニョン/QuyNhonで接続されるべく、現在、工事が進められています。

さて、これらの海底ケーブルですが、しばしば障害が発生します。経路の冗長化により、障害時は他の回線に割り振られるものの、国外への膨大な通信を捌ききることができず、「遅い」といった症状が発生します。例えば直近では、2019年8月16日に、東南アジアと米国を結ぶ海底ケーブルAAG(Asia America Gateway)の、ベトナムへの支線で障害が発生しました。そのため、FacebookやYouTube、Netflixなどの国外サービスへの接続が遅延しました。復旧作業中に他の障害も発生し、最終的な復旧は9月11日でした。AAGに限らず、例えば、APGは今年すでに4回の障害が起きました。また、同期間に数本の海底ケーブルに障害が発生することも珍しくありません。

日系企業の多くは、日本側ネットワークと接続するためにVPNを構築したり、日本国内のサーバーを利用したりしますが、海底ケーブル障害時は、接続が困難、または時間がかかりすぎ、業務に支障を及ぼすこともしばしば見受けられます。

ベトナム国内の通信ケーブルは、ハノイ・ダナン・ホーチミンシティの各ポイントを中心に、異経路での冗長化がなされています。そのため、障害が発生したとしても、ほとんど遅延は発生せず、利用することができます。

次稿では、ベトナム国内のサーバー環境について、掘り下げてみたいと思います。

Chiroro-Net Viet Co., Ltd. / CEO 安藤 究真
2000年にサーバーホスティングを提供する(株)チロロネットを岡山県で設立。
2015年にはベトナム現地法人を設立、2017年12月よりベトナム国内においてもホスティングサービスの提供を開始。ホーチミン日本商工会議所(JCCH)・IT部会会員。