またワイロの話が出た

2020年5月15日(金)

20年ほど前だったかしら、ベトナムの高官にワイロを払っていた会社が摘発。確かODA関連企業だったと思いますが、これは完全にアウト。国民の金だから会計検査院が入るためバレないはずはありません。日本側は逮捕者が出たと記憶していますが、VN側も相応に捕まった筈でした。
常識的に上の人が知らない訳はありません。しかしトカゲの尻尾切りは何処も同じ、何れは何となく有耶無耶になって、その後にシャバに戻れば何らかの形で復活するのは任侠映画の世界と一緒です。
日本で現役の時。旧国鉄の建設の仕事をすれば、必ず会計検査院からチェックを受けました。また大手製鉄会社の場合、現物支給される鋼材。これに関して厳しく検収、工事完了の際に破棄分もきちんと残して置き、使用量との差違が細かく検査されました。民間レベルでもこんな具合でアバウトは通用しません。これが普通だと思っていて身に付く。これが本来の日本人の仕事です。
だが世界はそうではない。アジアでワイロが駄目なのは日本、シンガポール、ブルネイくらいだとか聞いた事があります。ベトナム人も良くないとは思っているけれど、受け取る方は相手が官民だろうが個人手数料としか思っていない。だから罪の意識などあると思ってはいけません。
銀行の融資でも、大手スーパーへの納品、EPZでのコンテナの通関でさえも、1コンテナ当たり、長さによって額が決まっていたのです。当然会社では払えないから現法社長の身銭になるという具合だが、日本の本社では当然分らない。いわんやローカル店でも同じ事。金が駄目なら現地調査と称して酒食で現物を漁りに来る。拒否すれば最悪は潰されてしまうことも珍しくありません。こういう恥部暗部は沢山あり、社会悪だと知りながらも仕方なく従っている実態があります。日本のセミナーでは誰も話さない。
役所や公安でも同じ。何かと言えば罰金。だが心付けなら少額で済むから皆が、「ホイローを 素知らぬ顔で そっと出す」わけです。ホイローとはVN語で賄賂のこと。ではこれをどうするのか。年末(テト)の前までプールしておき職階によって配分するのだそうです。これを受け取るのが嫌なら辞めるしかありません。実際にまともな人も居て、公務員を辞職した人はいます。
その大昔、ある大手商社の社長をしていた人から聞いた話。相手はとにかく金銭が欲しい。今ほど巧妙なやり方が出来なかった頃、いくら何でもやり過ぎると高級官僚でも摘発は免れない。で貰った方は今まで持ったことのない大金。隠す所が無いので、必ず台所の甕に入れて掘った土の中に埋めたという。所詮農民上がりの役人は知恵が回らない。追う方も手口が分かっているので捕まったという話です。
さて5月の新聞各社記事に拠ると、バクニン省にある「TENMA VIETNAM(天馬ベトナム)」が2017年6月、現地の税関調査で金型の輸入販売に関して1627万5千ドル(約17億9千万円)の追徴金を求められ、同社社長らは減額してもらうため税関局職員に「調整金」を支払うことを提案。本社社長の承認を得て、税関局の調査リーダーに現金20億VND(約1千万円)を支払い、追徴金の支払いを免れた。さらに19年8月にも現地の税務局の調査で一部の所得が税優遇の対象外と指摘され、法人税など178億ドン(約8900万円)の追徴金を求められ、調査リーダーから現金を要求されたため、社員らは現金で30億ドン(約1500万円)を支払った。追徴金は最終的に罰金などを含め262万円に減額された。のです。信じがたいがこれが日常の出来事。
これを外国公務員への贈賄を禁じる不正競争防止法に違反する疑いがある、と知りながら東京地検に自主申告したというのです。この会社、確か2008年に進出して12年にもなるのだが、記事だけでは事実関係はよく分かりません。
良い精密金型が作れなければ良い製品は生まれません。地場プラスチック企業も日本企業の部品や容器を受注するため、実際に多くの時間と費用を掛け金型を造る工場を持っている。輸出する会社もあるほどです。
だが何れの企業でもお土産なしでは帰しません。ある知人の会社社長。日系でも彼の知る限りで95%は税務調査や税関調査で渡していると言います。
この会社、絶対に渡さないと言い切る。不当な罰金が課されると当局の局長まで直談判。それでもだめならハノイの中央政府にチクると言います。此処までする人は他にもいて脅しに負けない。大体それでオシマイ、と聞きました。
また私がHCM市に居た時、毎月公安が挨拶にやって来て、対応はベトナム人の管理職。でないとセビリ屋の話がややこしくなる。理髪師ではないけれど。
さらにクリスマスやテト時は深夜に部屋までやって来てチェックする。これは異性のお友達が居るかどうかですが、それでも頂くものは忘れません。とかく
外資系企業は餌食になりやすいが、此処は所詮人脈社会。毒にはより強い毒。
ある企業、優秀なベトナム人をアカウンターに採用しています。日本留学経験もあり地域のUBNDに強いコネクションを持っていて心強い。
今回の出来事は、税関申告ミスの様だが、日本企業はとにかく品質や生産管理へ目が行ってしまう。だが大事なのは会計部門、物流部門への適正な人員配置。これが重要です。また少しでも給料が良ければ羞恥心も無くもなく他社へ自分を売り込む事が往々にしてあり、ビジネスマナーは期待薄。従って、しっかりとしたまともな人財を得て育成するのは無論だと言いたいが、せめてきちんとした立場とそれなりの待遇を処し、ケチな給料を出さない。これも大事です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生

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